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A39 梅原猛の2冊 隠された十字架―法隆寺論 新潮文庫 ・神々の流竄  集英社文庫
A39 梅原猛の2冊 隠された十字架―法隆寺論 新潮文庫 ・神々の流竄  集英社文庫 [浏览雅虎原始页面]
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文庫です。 多少のイタミはあります。

隠された十字架―法隆寺論
門の中央を閉ざす柱、一千二百年の秘仏・救世観音――古の息吹きを今に伝え、日本人の郷愁を呼ぶ美しき法隆寺に秘められた数々の謎。その奥に浮かび上がる、封じ込められた怨霊の影。
権謀術数渦巻く古代国家の勝者と敗者を追い、あくことを知らぬ心理への情熱と、通説を打破する大胆な仮説で、ときの権力により歪曲され抹殺された古代史の真実に華麗に挑戦する、「梅原日本学」白熱の論考。


【目次】

はじめに

第一部 謎の提起
法隆寺の七不思議/私の考える法隆寺七つの謎/再建論と非再建論の対決/若草伽藍址の発見と再建の時代

第二部 解決への手掛り
第一章 なぜ法隆寺は再建されたか
常識の盲点/たたりの条件/中門の謎をめぐって/偶数の原理に秘められた意味/死の影におおわれた寺/もう一つの偶数原理―出雲大社

第二章 誰が法隆寺を建てたか
法隆寺にさす橘三千代の影『/資材帳』の語る政略と恐怖/聖化された上宮太子の謎『/日本書紀』のもう一つの潤色/藤原―中臣氏の出身『/書紀』の主張する入鹿暗殺正当化の論理/山背大兄一族全滅の三様の記述/孝徳帝一派の悲喜劇/蘇我氏滅亡と氏族制崩壊の演出者―藤原鎌足/蔭の支配と血の粛清/権力の原理の貫徹―定慧の悲劇/因果律の偽造/怖るべき怨霊のための鎮魂の寺

第三章 法隆寺再建の政治的背景
思想の運命と担い手の運命/中臣・神道と藤原・仏教の使いわけ/天武による仏教の国家管理政策/日本のハムレット/母なる寺―川原寺の建立/蘇我一門の祟り鎮めの寺―橘寺の役割/仏教の日本定着―国家的要請と私的祈願/飛鳥四大寺と国家権力『/記紀』思想の仏教的表現―薬師寺建立の意思/権力と奈良四大寺の配置/遷都に秘めた仏教支配権略奪の狙い/藤原氏による大寺の権利買収/興福寺の建設と薬師寺の移転/道慈の理想と大官大寺の移転/二つの法興寺―飛鳥寺と元興寺/宗教政治の協力者・義淵僧正/神道政策と仏教政策の相関/伊勢の内宮・薬師寺・太上天皇をつらぬく発想/藤原氏の氏神による三笠山の略奪/土着神の抵抗を物語る二つの伝承/流竄と鎮魂の社寺

第三部 真実の開示
第一章 第一の答(『日本書紀』『続日本記』について)
権力は歴史を偽造する/官の意思の陰にひそむ吏の証言

第二章 第二の答(『法隆寺資財帳』について)
『縁起』は寺の権力に向けた自己主張である/聖徳太子の経典購読と『書紀』の試みた合理化/斉明四年の死霊による『勝鬘経』、『法華経』の講義

第三章 法隆寺の再建年代
根強い非再建論の亡霊/浄土思想の影響を示す法隆寺様式/法隆寺の再建は和銅年間まで下る

第四章 第三の答(中門について)
注文は怨霊を封じ込めるためにある

第五章 第四の答(金堂について)
金堂の形成する世界は何か―中心を見失った研究法/謎にみちた金堂とその仏たち/薬師光背の銘は『資財帳』をもとに偽造された/三人の死霊を背負った釈迦像/奈良遷都と鎮魂時の移転/仮説とその立証のための条件/両如来の異例の印相と帝王の服装/隠された太子一家と剣のイメージ/舎利と火焔のイメージの反復/金堂は死霊極楽往生の場所/オイディプス的悲劇の一家

第六章 第五の答(五重塔について)
塔の舎利と四面の塑像の謎/釈迦と太子のダブルイメージ/死・復活ドラマの造型/塔は血の呪いの鎮めのために建てられた/二乗された死のイメージ/玉虫厨子と橘夫人念持仏のもつ役割/再建時の法隆寺は人の住む場所ではなかった

第七章 第六の答(夢殿について)
東院伽藍を建立した意思は何か/政略から盲信へ―藤原氏の女性たちの恐怖/夢殿は怪僧・行信の造った聖徳太子の墓である/古墳の機能を継承する寺院/フェノロサの見た救世観音の微笑/和辻哲郎の素朴な誤解/亀井勝一郎を捉えた怨霊の影/高村光太郎の直観した異様な物凄さ/和を強制された太子の相貌/背面の空洞と頭に打ちつけた光背/金堂の釈迦如来脇侍・背面の木板と平城京跡の人形/救世観音は秘められた呪いの人形である/仏師を襲った異常なる恐怖と死

第八章 第七の答(聖霊会について)
怨霊の狂乱の舞に聖霊会の本質がある/骨・少年像のダブルイメージ/御輿はしばしば復活した怨霊のひそむ柩である/祭礼は過去からのメッセージである/舞楽・蘇莫者の秘密/死霊の幽閉を完成する聖霊会/鎮魂の舞楽に見る能の起源

年表
図版目録
解説:秦恒平


梅原猛(1925-2019)
宮城県生まれ、哲学者。国際日本文化研究センター顧問。京都大学文学部哲学科卒業。立命館大学教授、京都市立芸術大学学長、国際日本文化研究センター所長などを歴任。縄文時代から近代までを視野におさめ、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する幾多の論考は〈梅原日本学〉と呼ばれる。著書に『隠された十字架一法隆寺論』、『葬られた王朝一古代出雲の謎を解く』、『親鸞「四つの謎」を解く』(以上すべて新潮社)など多数。


神々の流竄
大和から出雲へ神々は流され、幽閉された!“出雲・神々の故郷説”に疑問の矢を投じ、その裏に秘められた古代の権力と宗教との壮絶な争いをとらえ、鋭い推理で歴史の真理に迫る。(解説・上山春平)
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