盤共に非常に状態の良い中古でございますが、紙ジャケットに若干使用感がございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップは初期名手トリオ編成。
Mark Farner(G、Vo、Key、Harmonica)、Don Brewer(Ds、Vo 後にBob Segar & the Silver Bullet Band)、Mel Schacher(B)となります。
プロデュースはTerry Knight。
1970年6月23日米国フロリダ州”Jacksonville Coliseum”、24日同州”West Palm Beach Civic Auditorium”(”Paranoid””Inside Looking Out”二曲のみ)、
25日同州”The Orlando Sports Center”での制作となります。
また今仕様では(紙ジャケットはオリジナル版仕様ではございますが)内容は当時のライヴの曲順に沿ったものとなっており、
オリジナル版とは若干異なる事がミソでございます。
1965年結成のTerry Knight & the Packが母体となるバンド。
Mark Farnerの離脱等と変遷を経て二作他を制作。小規模の成功を収めるものの、Terry Knightがソロとして独立。
バンド名を変えDon Brewerを中心に建て直しを図るものの上手く行かず紆余曲折を経る中、
ソロとしての活動に行き詰まったTerry Knightにビジネス面でアプローチ。
Terry Knightがマネージャーとして就任し、Mark Farner再合流を経て活動開始。
デュオ名義でシングルリリース等活動するも不発。
本格的に新バンド構想に着手する事となり、Mel Schacherをスカウト。
そして制作した録音物をTerry Knightが”Capital Records”に売り込みをかけ、
当時英国を中心としたアートロック系の台頭から契約を獲得する事となります。
そしてバンド名を”Grand Funk Railroad”と改め、ツアー合間の1969年4~6月にデビュー作制作。
8月リリース後は大反響を呼び、チャートアクション/セールスがかなりの好調を見せ、ライヴも豪快系で大好評。
後にかのLed Zeppelinの前座を務めるものの、主役を凌駕する程の反響を得る事となります。
大反響を鑑み、同年10月には次作を制作し12月リリースという強行スケジュールに乗り出す事となります。
その後も熱狂は収まる事無く、チャートアクション/セールスは絶好調。ツアーは大反響。
マネージメント/レコード会社は新作制作を要望。翌年3月には3rd”Closer to Home”制作に乗り出す事となります。
拍車を掛けた熱狂は収まる事が無く、チャートアクション/セールスは鰻登り。ツアー動員もかなりのものとなっていきます。
再び新作制作を要望される事となりますが、創作に期間を置きたいバンド側はライヴ盤制作を提案。
3rd”Closer to Home”リリース直後の6月にライブ録音に乗り出す.............という経緯がございます。
さて今作。
そもそも名手揃いで演奏面重視のGrand Funk Railroad。
今作はライヴ盤という事でライヴならではの演奏個性重視の楽曲の長尺化やバンドの躍動感やスケール感が強く感じられるものでございます。
スタジオ録音の様な加工が出来ないライヴ盤ではございますが、トリオ編成という事で音の隙間を埋める工夫が上手く成されている事がミソ。
音に厚みがあり、とりわけベースのMel Schacherの演奏に注目でございます。
非常に豪快な演奏ではございますが、案外纏まったアンサンブルと演奏の細やかさが伴う事がミソでございます。
そもそも豪快系アメリカン・ハードとも称されるこの”Grand Funk Railroad”ではございますが、当初から案外なメロディ重視。
音楽性の豪快さの裏に演奏の巧みさやコーラスワークという武器そしてメロディ重視が有り、
また当時のブリティッシュ・ロック/アート・ロック系の影響や憧れが窺える音楽性でございます。
米国的な豪快な演奏や音像の中に窺えるものでございます。
録音制作機器の向上が急激に進んだこの時期。
正直当時のプロデュース担当のTerry Knightは音響制作面で古さを感じられる感。
Terry Knightのスタジオ録音制作含めたプロデュースの有り方が嘗てのブルーズ系のそれと似た感がございます。
(後に金銭面を巡りバンドと対立する事となるTerry Knightではございますが)、音響面では今作から明確に対立点となっていった感が窺えるもの。
かの第二期Jeff Beck Groupの二作目でのJeff Beckと名手故Cozy Powellを含めたバンドの対立点と似た感がございます。
またバンド側は1st以降当時のブリティッシュ・ロック系のアート感を重視していく感が有り、
豪快なアメリカン・ハードの音楽性を求めるTerry Knightと溝が出来ていった感。
今作は分岐点という感がございます.....................................
リリース後は更なる大反響。
以前よりも行為のチャートアクションを記録。セールスやツアーも好評。バンドは順風満帆となります。
このライブ盤の半年後には新作リリース。ツアーを繰り返す、という正気とは思えぬ活動を行います。
大きな成功を収める事となりますが、バンドは疲弊。
極度の成功と裏腹に度重なる制作・ツアーでバンドの疲労が蓄積。
またライブ盤の大好評からTerry Knightの音造り含めたプロデュースの有り方に不満を募らせていく事になります..........................
この機会に是非。