82年に結成されたデストラクションは、84年『Sentence of Death』EPでデビュー。翌85年にリリースされた初のフルレングス『Infernal Overkill』は、後のブラック・メタルやデス・メタル、さらにはグラインドコアの誕生にも大きな影響を与えた歴史的金字塔だ。続く『Eternal Devastation』(86年)も、名盤の呼び声が高い傑作である。だが、80年代後半から90年代初頭にかけてのスラッシュ・メタル暗黒時代は、デストラクションにも暗い影を投げかけた。89年、バンドの顔でもあるヴォーカリスト/ベーシストのシュミーアが脱退。残されたメンバーはデストラクション名義での活動は継続するも、シュミーアを欠いたデストラクションは迷走を余儀なくされた。シュミーアが戻ってきたのが、脱退から10年後の99年。00年の『All Hell Breaks Loose』を皮切りに、その後は数年に1度スタジオ・アルバムをリリースするというペースを守り続け、今日に至るまで順調に活動を続けている。
さて、この度リリースとなる『ボーン・トゥ・ペリッシュ』は、新生デストラクションの第一歩となる作品だ。コア・メンバーがシュミーア、そしてギタリストのマイクであることに変わりはない。だが、ドラマーはランディ・ブラックへと交代。ランディはカナダ出身で、アナイアレイターやプライマル・フィアにも在籍していた経験を持つ猛者だ。しかしまあ、ドラマーの交代は、デストラクションにとっては恒例のイベントとも言える。99年以降の活動を見ただけでも、ランディですでに4代目。驚くべきは、ギタリストをもう1人加えたことだ。ギターが2人になったくらいで大げさな、と思われるかもしれない。だが、デストラクションはトリオであることをポリシーにしていたバンドである。シュミーアは「3人編成が一番しっくりくるし、それをわざわざ変える理由がない」と言っていたし、マイクの方も「3人編成の方が好きだし、ステージでのノイズも減ってやりやすい」と明言していた。もちろん、デストラクションは過去にセカンド・ギタリストがいたこともある。日本ではなぜか代表作扱いされることも少なくない87年の『Release from Agony』は、確かに4人体制で作られている。だが、これはデストラクションとしては特殊な位置づけにある作品だ。シュミーアやマイクは、この作品を経た上で、「3人編成が一番だ」と発言し、実際に20年近く3人で活動をしてきたのだ。それがここへ来て、もう1人ギタリストを加入させたわけだから、これが驚きでなくて何であろう。さらにシュミーアは、「ずっともう1人ギタリストを加えたいと思っていた」と、あっさり前言を翻しているのである!