マニアックな視点から始まった初期のセッションで売れると確信した細野晴臣氏はYMOをバンドとして始動させ積極的にポップな要素を取り込んでいき、面白がりながらそれに応えていく坂本龍一と高橋幸宏との間には奇跡的なロックバンドのようなバンドマジックが起こる。幸宏による戦略的な視覚的要素を積極的に取り入れたことで、もはや絶頂期は小学生をも巻き込むようなレベルで日本中がYMO一色の熱狂が生まれた。そんな熱狂の中からはスネークマンショーのようなスターが生まれ、仲井戸麗市をメンバーに向かえ同じく絶頂期を迎えていたRCサクセションの忌野清志郎と坂本龍一が組み「いけないルュージュマジック」というNO.1ヒットまで生んでしまう。しかしそんな熱狂の中、シリアスな面はすぐに顔を出すことになる。それがリーダー細野氏が先導して製作したYMOの踏み絵の如き傑作「BGM」とその路線に反発した坂本龍一氏が先導したのが次作「テクノデリック」である。言葉本来の意味で真にプログレッシブなこの2枚があるから今の彼らの再評価があるとも言える傑作である。しかし次作「浮気なぼくら」ではなんとPOPな歌ものを大ヒットさせあっさりと解散してしまうその潔さはロックバンド以上にロックだった。しかしそんなPOPなアルバムもそのインストアルバムを聴くとおもに坂本龍一氏によるものと思われる毒や針がタップり仕込まれていることがわかる。この時期の坂本龍一はめちゃくちゃ冴えている。これは必聴の名盤！YMOとは最先端のテクノフュージョンユニットというのが世評だと思うが私見ではYMOとは唯一無二の最強のロックバンドであった。なによりエイプリルフール～はっぴいえんどからはじまる自身のそれまでの活動でなによりグルーヴを追求してきた国内最強のベーシストであった細野晴臣が一切のグルーヴをあっけなく捨て去り、真逆ともいえるグルーヴのない正確なリズムを反復させるエレクトロニクスの世界に踏み込んでいったその姿勢こそがロックだった。ファーストから1枚も欠けることなく全作必聴の最強セット！矢野顕子のアルバムはYMO関係なしにすべて必聴だが、最もYMO色が強いのはこの2枚！矢野顕子の才気も爆発している。