御存知! バンド全員がリードヴォーカル担当 Paul McCartney & Wings 隠れ名盤「Wings at the Speed of Sound」
本国旧リマスターボーナス楽曲付国内盤中古でございます。
盤共に非常に状態の良い中古でございます。
本国旧リマスターでございます。
(当時のマスタリング技術の精度から)CDの方式に合わせて音を作り変えた感や制作時に生じたノイズの処理等が窺えるもの。
リミックス感がございますが、非常に良心的でございます。
現在ではこのPaul McCartney作品群最新リマスターがリリースされておりますが、作品によってはデータの音飛びが指摘されております。
ファンを中心として指摘が為され、改善が求められておりますが、レーベル側は「これが正規」の一点張り。
(The Beatles某作品も同じ...................)
何をか言わんや、でございます.........................................
ラインナップは全盛期。
Paul McCartney(Vo、B、G、Key、Contrabass、後にPaul McCartney & Wings、ex-The Beatles)、故Linda McCartney(Key&Vo)、
Denny lane (G&Vo、P、Harmonica、ex-Moody Blues)、故Jimmy McCullock(G&Vo)、Joe English(Ds&Per、Vo)となります。
また、Tony Dorsey(Trombone)/Thaddeus Richard(Sax、Clarinet、Flute)/Steve Howard(Trumpet、Flugelhorn)/Howie Casey(Sax)/
George Tidwell(Trumpet)のホーン隊、管弦楽団の起用がございます。
プロデュースはPaul McCartney自身。エンジニアはPete Henderson(後にSupertramp、Rush等手掛ける)。
1975年8月~10月、1976年1月5日~2月4日英国ロンドン”Abbey Road Studios”での制作となります。
新体制としては初の作品で「ロック・オペラ」と名高い大傑作”Venus and Mars”を制作。
制作前期でメンバー交代があったものの非常に創造的で意欲的な制作となり、リリース後は高評価に大きなセールスを記録する事となります。
本格的なツアーが”Wings Over the World Tour”と称して企画され相当な熱狂を以て迎えられる事となりますが、
創作意欲に満ちたバンドはその合間に新作制作を決意する事となります。
そもそも”Wings”自体はPaul McCartneyのリーダーバンド。
Paul McCartney自身が創作を担い、それをバンド形式でのアイデアのインプットを加え音楽性を実現するものでございます。
加えてPaul McCartney自身は単独で優れた楽曲を創作出来るミュージシャンでございますが、
以前の名手Henry McCulloughの脱退理由「創作貢献の範囲が狭すぎる」がPaul McCartney自身の頭を擡げており、
バンドの創作貢献面やバンドとしてPaul McCartneyのみに注目が当たる事に対しての不満に先手を打って、
「バンド全員がリードヴォーカル担当」という企画を持ち出す事となります........................
さて今作。
バンド全員がリードヴォーカル担当で注目が当たりますが、Paul McCartney自身の作曲が殆ど。
されどヴォーカル・パートのアレンジはそれぞれに任せるという感がございます。
前作が「ロック・オペラ作」という事で、今作ではコンパクト感を重視した感がございます。
時代は1975年。
前年はプログレッシヴ・ロック、ハード・ロック等々古典派アート・ロックの大傑作が出揃った時期。
またアンダーグラウンドでは”Punk””New Wave”が登場。
大作主義化や作品インターヴァルが長くなり、またバンドの巨大化で聴衆の乖離が窺える時代。
(Robert Plant曰く「バンドがどんどん大きくなる。そしてファンが「ヘイ!ついていけないぜ!」その繰り返しだ。」と.............)
古典派アート・ロック系中堅バンドが徐々に追い遣られていく事となりますが、
Paul McCartney自身もそれを無意識的に理解し始めていた感がございます.................
楽曲はメロディ重視で非常に質の高いもの、但しコンパクト感を生かした感がございます。
古典派アート・ロック系(Denny Lane絡み)、当時故David Bowie等が指向した”Plastic Soul”的な感覚も窺える楽曲、
そこから後の(日本で言う)”A.O.R.”に繋がるものや古いR&Rスタイル、
The Beatles時代や嘗ての作曲パートナー故John Lennonの様な翳りが音楽性に無い事を揶揄された事への返答や皮肉という楽曲もあり、
非常に幅が広く飽きさせないもの。
オーケストラを使用した楽曲もコンパクト感が伴うもので、時代の転換期という感。
非常に凝ったものではございますが案外趣味性が高いもの。
正直一般的なものではない事がミソ。案外人を選ぶ感覚がある音楽性でございます。
当時既に登場し分裂、アート/ポピュラー系の音楽性を強めた”10CC”的に繋がるものがあり、
後の名手Eric Stewartとの合流に繋がる感がございます。
楽曲の多くをPaul McCartney自身がリードヴォーカルを担当するものではございますが、他のメンバーも楽曲によって担当。
されど、(味と言えばそうではございますが......)リードヴォーカルとして適しているか?否か?が問題(約一名.......)。
案外上手く歌えるJoe Englishが収穫ではございますが、
かのDenny Lane(そもそも極初期Moody Bluesの中心メンバーですが......)やJimmy McCullockは個性としては甘いもの。
作品のアクセントとしての役割が窺えますが、無理にリードヴォーカルを担当させる必要は無かったのでは?という感がございます。
正直今作コンセプトの鍵となった名手Henry McCullough脱退理由は、共作含めた創作貢献に携わりたかったという事。
そこに拘ってみては良かったのでは?という感がございます...........................
ツアーの合間の制作とは言え、創作は意欲的。
リリース後は前作同様ヒットを記録、大ヒット代表楽曲を生むものの、前作程のセールスが得られぬものとなります....................
その後の再開されたツアーは好評。
The Beatlesライヴ活動休止後Paul McCartney自身の本格的ツアーで熱狂的に受け入れられた事で、ライヴ録音を敢行。
ファン待望のライヴ盤制作に乗り出す事となりますが、前述のHenry McCullough脱退原因が今作で解消された訳では無いもの。
再びPaul McCartney自身やバンドの頭を擡げていく事となります................
そして「ミュージシャン特有の私生活問題」が(故Jimmy McCullockを中心に)バンドに忍び寄る事となります..............................
さてボーナス楽曲。
3曲となりますが、”The Country Hums”名義が二曲、”Paul McCartney & Wings”名義が一曲となります。
1974年6~7月米国ナッシュビル前作制作に向けての創作リハーサルで録音制作されたもの(ドラマーは前任Geoff Britton)。
ゲストにかの名手故Chet Atkins(!!!!!)等の非常に興味深い名手陣の参加がございます。
前者はPaul McCartneyの実父James McCartney(!)作とMcCartney夫妻共作によるもの。
インスト作で”Dixieland Jazz”スタイル応用の音楽性ではございますが、ヴォードヴィル感と英国ならではの米国ルーツ音楽解釈(曲解)が聴られるもの。
非常に興味深いものがございます。
後者はC&W調でPaul McCartneyのヴォーカル入りではございますが、前者同様英国ミュージシャンならではの米国ルーツ音楽解釈(曲解)がございます。
両者共にPaul McCartneyならではのメロディ感覚が感じられる所が非常に興味深いものでございます.............................
この機会に是非。