「水滴」とは、硯に水を注ぐ時に使う道具です。水滴に水を入れて上部にある穴を指で押さえ、角にある穴を下にして傾けても水は出ません。抑えている指をゆっくりゆるめると水が一滴づつ出ます。このように注ぎ口が小さな穴で水を一滴づつ出すことのできるものを「水滴」と呼び、大きな注ぎ口があるものを「水差し」と呼んでいます。
李氏朝鮮(りしちょうせん)は、1392年8月から1897年10月にかけて朝鮮半島に存在した国。高麗の次の王朝にあたり、朝鮮の歴史における最後の統一王朝である。国家存在中の正式呼称は朝鮮國、または大朝鮮國である。王朝名としては李朝(りちょう)。李氏朝鮮は儒教王国の実現に邁進した結果儒教文化が栄えたが、代々中国の属国であったため、すべて中国文化の縮小版であった。
李氏朝鮮の文化政策は、一言でいえば儒教の一派である朱子学を尊重し、仏教を弾圧したと説明される。しかし、太祖・李成桂が仏門に帰依していたため、本格的な廃仏運動が始まるのは第3代太宗の代からである。この時、朝鮮半島では多くの仏教寺院が廃され、242の寺のみが国家の統制下に残された。このため、高麗時代の仏教遺跡が破壊されたり、仏像や文化財などの多くが海外へ流出した。
陶磁器では、前代の高麗青磁に比して、華麗さでは見劣りするが優美さをもつ李朝白磁と呼ばれる磁器が知られるが、それに至る過渡期のものとして14世紀後半に誕生した粉青沙器がある。李朝時代に白磁が尊ばれたのは朱子学で白が高貴な気高い色とされているためであるが、その白を求める過程で粉引(粉吹)が生み出された。粉引とは、赤土で成形された素地に化粧土という泥を塗って白化粧を施し、その上に透明の釉薬をかけ焼成する陶磁器である。李朝の粉引は日本では三島として知られる。この粉青沙器は16世紀末には廃れ、その後の李朝磁器の主流は15世紀前半から生産が軌道に乗り始めた白磁へと移った。白磁は17世紀後半から18世紀にかけて青花の全盛期を迎える。
他に、絵画同様、鉄絵の具で力強い文様が描かれた民窯の鉄砂の焼き物や、釜山の倭館窯で日本からの注文で焼かれた高麗茶碗がある。李朝の陶磁器はコバルト顔料と辰砂釉、鉄絵の具での彩色にとどまり、明や日本のような錦手、金襴手と呼ばれる豪奢な色絵磁器が生み出されることはなかった。これは、儒教道徳を名目とした職人階級に対する非常に厳しい差別があったためだが、白磁は職人達の手を通じ堅実な発展をみせ、日本の陶磁器にも大きな影響を与えた。
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