上手古伊万里染付金襴手小ぶり中鉢
伊万里の江戸中期に作られた落ち着きがあって見事な中鉢である。
形といい、染付色絵の描き込みが大変精緻になされており、見事な美しさである。
大きさが中鉢よりやや小ぶりで、掌に乗せて鑑賞するにも、実際料理や菓子などを
盛る器としても最も使いやすい良い大きさである。
形はやや深めの鉢で口回りが細やかな輪花になっており、そのまま裾に向けて
優しく波打っているので立体感がある。
作りは中鉢としては薄手にできており上手のものとして作られた逸品である。
染付が主体となっており、藍の色も深く落ち着きのある良い色合いで
手描きの味わい深い筆さばきで描かれている。
内側は染付の丸紋と金彩と赤絵で鳳凰と龍が描かれ
その背景に赤絵で花唐草・緑の松唐草が細かく葉脈まで細かく埋められている。
側面も全く手を抜くことなく、鳳凰と桐の花が飛び絵で配され
その背景には染付と朱色の植物に唐草の面白い動きが描かれている。
裾の高台の周り縁にも細かい染付の緻密な連続模様が配されている。
高台の内側が薄く深く鋭く入っており、時代の古さと作りの良さが窺える。
そのままの絵付けの場合ケバケバしくなってしまうが、本品は色絵の上に
落ち着いた金を被せることでケバケバしくない品のある逸品となっている。
【サイズ】
直径7cm×高さ7cm