平成１６年（２００４）に、小学館から出版された名城をゆくシリーズ４号「会津若松城」
（３月２日４号・定価５６０円）である。全ページ・カラーグラビア仕立てとなっている。
城の規模、縄張り、築城秘話、ゆかりの武将や各種人物伝などのさまざまな内容は、
貼付写真の具体的な目次の詳細から御想像して下さい。
戊辰戦争のみぎり、仙台の青葉城（仙台城）に、奥羽列藩同盟が総力をあげて籠城
すれば、新政府軍は半年や一年では、そう簡単に落城させることはできなかったはずだ。
伊達政宗が、心血を注いで築城した名城は、要害堅固・難攻不落である。その体制で臨
んでいたが、新政府軍は手薄な守備兵の会津攻撃の意表を突いたのだ。
平城の会津鶴ヶ城は、高台に設置された新政府軍のアームストロング砲で、２５００発
もの砲弾に耐えに耐えた。女性たちは山本八重の指導のもと、城内に打ち込まれた砲弾
が発火寸前に濡れ布で包み消火させる離れ業をなし遂げた。会津兵の奮戦はもとより、
少年で編成された白虎隊、中野竹子ら若き乙女の薙刀隊などが死力を尽くし、鶴ヶ城は
猛攻の前に一ヵ月以上も城は落ちなかった。
新政府が見せしめに、石垣だけを残して、城を取り壊したのは明治７年である。若松
県の所轄となったので〝会津若松城〟と呼ばれるようになった。私はその呼び名が嫌
いで、会津鶴ヶ城と呼んでいる。御維新の威光が続いた昭和戦前は、城は再建される
ことはなかった。地元のみなさんの寄付で鶴ヶ城がよみがえったのは昭和４０年である。
平成平成２３年には、幕末時代の瓦（赤瓦）をまとった名城に完全復活した。
さて、その会津の歴史は、『会津風土記』や『新編会津風土記』にあるように、古く
平安時代から始まる。最初の武門の誉れは、延暦８年(７８９) に、御当地の武将・会津
壮麻呂が蝦夷討伐戦いで勇猛果敢に戦死したことだ。中世南北朝時代に、蘆名直盛
がこの地に館を造営したのが会津鶴ヶ城（若松城）が基となった。以後、蘆名家の居城
となる。戦国の世には、蘆名家〝中興の祖・盛氏〟が出現して、広大な城郭に大修築
した。当時の名は、黒川城であった。
天正１７年（１５８９）、伊達政宗が、蘆名を強引に攻め滅ぼし黒川城を手中にした。
しかし、これが秀吉の逆鱗に触れ、小田原参陣の遅延とあいまって、政宗が首の皮
一枚で秀吉の機知で繋がった逸話はあまりに有名である。政宗は黒川城を追い出
され、伊達家発祥の地まで召し上げられた。黒川城は蒲生氏郷が城主となった。
この氏郷が、近世城郭に大改造し、城下町まで整備した。文禄２年（１５９３）に、
望楼型七重（五重五階地下二階）の堅固な天守閣が竣工した。慶長６年（１６０１）
加藤嘉明が入封。その子、明成は西出丸、北出丸、層塔型天守など、今日見られ
る会津鶴ヶ城の雄姿は完成した。
会津藩を天下に轟かせたのは、保科正之である。加藤明成は改易され、その
代りに出羽国山形より、家光の異母弟（家康の孫）正之が２３万石の石高で入封
した。会津藩祖の彼は、真の武士道と学問の〝知勇兼備〟を唱え、領民には善政
を敷いた人物である。寛文８年（１６６８）保科は、『会津家訓十五箇条』を定めた。
その第一条にこうある。「会津藩たるは将軍家を守護すべき存在であり、藩主が裏
切るようなことがあれば家臣は従ってはならない」藩主・家臣・領民一体となってこれ
を遵守した。
会津藩最後の藩主・松平容保は、養子であったが、この正之の遺訓を忠実に守
り、京都守護職時代は新選組を配下に不逞な輩を取り締まった。佐幕派の中心的
存在の会津藩は、戊辰戦争では冒頭で説明したように、徳川の支流の松平の意地
を見せたのだった。
本の状態は、かつて新品購入した個人所蔵の「ほぼ美本」レベルです。あまりに
神経質な方は御遠慮して下さい。発送はゆうパケット２３０円です。
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