昭和年55年(1980)に、青土社から出版された『現代思想」3月号
(定価880円)で、本号の特集は「現代生物学の思想」である。
近年、20世紀後半から、科学や化学の技術の目ざましい向上は、
それをめぐる先進医療の技術を含め新たなイデオロギーの形成をし
ている。元来は、自然科学と生物学を融合した教養主義な視点であ
ったが、最先端医療技術の開発は新たな倫理や社会秩序を形成し
つつある。
1887年、フランスのパリに開設された非営利民間研究機関で名高
いパスツール研究所は生物学や医学に画期的な影響を与えた。特に
狂犬病ワクチンを開発し、それを基礎に微生物や感染症、ワクチンなど
多方面にわたり応用研究開発がなされた。
今日では、世界中の医療機関が日進月歩で、最先端医療技術の症例
や遺伝子研究の新技術、多方面に応用されているパイオテクノロジーなど
の〝医療ルネサンス〟の報告がなされている。本書の生物学全般にわた
る視座は大きな示唆を与えている。さて、新たなる研究開発を使いこなす、
人類の思想哲学はどこまで成長しているのであろうか・・・・。
先ずは、目次の一部だけだが紹介したい。※なお、目次の詳細は貼付
写真を御覧下さい。
●「現代生物学の思想ーそれへの歴史的視点」八形龍一
●「生命現象は解明されるのか?」丸山工作
●「分子生物学の周辺ー分子が主役ではない生物学の今日」
●「生物界と物質界」村上陽一郎
●「大脳生理学の発達と心身問題」飯島 衛
●「対談 現代の神話」日高敏隆・柄谷行人
●「遺伝子工学と人間」宇波 彰
●「現代生態学の思想的背景」沼田 真
●「〝ソシオバイオロジー〟とダーウィンの復権」伊藤嘉明
●「現代進化論の思想」長野 敬、他
上記以外にも次のような記事も所収されている。
●「豪奢と華美ー18世紀への視座」(スタロンビスキー/ 訳・工藤傭子)
●「神話と神話論について」(ピチャゴールスキー/ 訳・北岡誠司)
●「生き物は生き物を食う」(中村元)などの興味深い記事なども所収
されている。
本の状態は、個人所蔵で長年保管していた古書「上」レベルである。
経年のうっすらとした汚れが表紙と背ヤケ、裏表紙にある。あまりに
神経質な方は入札を御遠慮して下さい。発送はゆうパケット210円
です。