1973年に当時自分のバンドメンバーが所有していたFender Precision BassはPink FloydのRoger Watersが使っている物と全く同じだったので試しに発売されたばかりのDark side of the moonに収録されている曲の一節を弾いてみたら日本製のアンプを使ってもそっくりな音が出ました。
そして次の年1974年にある量産メーカーからPrecision Bassピックアップのコピー商品開発を依頼された時この体験を生かして設計を繰り返し完成したものは本物とのブラインドテストにおいて誰も違いを聞き分けられないという結果をもたらしました。
近年C国製偽物素材が氾濫する中1970年代製造のPrecision Bass用アルニコ5番のストックがあることを思い出したので当時の音を再現して出店する事にしました。
また現在も唯一本物のアルニコ5番を取り扱っている日本の老舗メーカーに問い合わせたところ原材料の高騰でアルニコ5番の値段が10年前の5倍以上になっていました。という事は現在リーズナブルな価格で出回っている公称アルニコ5番の音質が変な理由は明白です。
ALNICOとはアルミニウム、ニッケル、コバルトの合金の名称です。そしてコバルトは低温核融合の実験で膨大な量が浪費され1980年代からどんどん高騰しているようで、その頃からアルニコ#5以外の極端にコバルト含有比率が低い2番や3番が海外で登場しだしたようですが磁束密度がかなり低い値を示します
しかし1990年代から登場しているらしい偽物は磁束密度の数値がほぼアルニコ#5と同じなので量産メーカーは工業試験場で遠心分離器による合金比率や他の元素の混入を分析してもらう必要があるでしょう。
私は音の違いで判別可能ですので1990年代USA製造のFender Jazz Bassに標準装備されていたピックアップでの演奏とマグネットを1970年代製造の本物のアルニコ5番と交換しコイルを当時と同じ仕様で仕上げた状態の音質の違いをプロ用レコーディング機材で録音しYouTube動画にアップしてあります。 https://www.youtube.com/watch?v=I3ovHhKt794&t=84s