オルタナティブなJMサウンド
その平べったい外観から、JMPUはしばしばギブソンのP90ピックアップと比較されます。ワイドに平たく巻いたコイルデザインは確かに両者とも似ていますが、マグネットデザインが全く異なるため、JMPUの方が各弦の分離が良く透き通ったサウンドで、P90の方がよりダークで中域の強調された丸いサウンドです。BritPop以降のダークなギターサウンド、ドライブ感溢れるプレイを行うには、通常のJMPUのサウンドでは素直すぎると感じる方も多いですが、このサイズのPUは選択肢も少ないため、悩みを抱えたままプレイする方がほとんどです。
P-90JM "The Egg"はそんなオルタナティブなサウンドを求めるJMユーザーのために設計した、豊かで個性的な中域を持つPUです。
独特のフィルター感
P-90JMはその名の通り、ギブソンP90の構造を参考にJMPUをデザインしなおした非常に魅力的なサウンドを持つシングルコイルPUです。
一般的なシングルコイルPUとハムバッカーPUの中間的な音色が特徴で、中域にはワウを踏んだ時のような独特のフィルター感があり、その太く粘りのある艶やかなサウンドは、いつまでも弾いていたくなる魅力に満ちています。
P90を搭載したギターにありがちな音のコモリやトーンの利きの悪さ等は皆無、ほどよくダークで色気のある中性的なニュアンスを活かしつつ、非常に幅の広い音作りが可能です。
P90スタイルのマグネットデザイン
二つのアルニコ5バーマグネットをボビン底面に配置して磁界を作り出していますが、G社のP90のようにベースプレートを使用していないため、よりオープンなマグネットフィールドを作り出すことに成功しています。
JM-59とは対照的にエッジを落としたスチール製のポールピースは磁力線を少し抑えてバーマグネットの中域を強調するように働きます。
コイルワイヤーにはJM-59同様、フォームバー皮膜のマグネットワイヤーを採用、ふくよかな倍音もサウンドの特徴のひとつです。
詰め込まれたRetroTone独自のノウハウ
特注のバルカナイズドファイバーはレーザー加工で正確に裁断されており、ポールピースのピッチはUSAと同じ51mm(※)を採用しています。
※RetroTonePickup製のJMPUはオリジナル同様、51mmの弦間ピッチを採用しています。MIJ製のPUカバーには合わないことがありますのでご注意下さい。
尚、カスタムショップ等、現行USA製モデルの一部にも52mmピッチを採用しているものがあるようです。ご注意下さい。
RetroToneのJMPUは全て良質のワックスでポッティングされます。このワックスは幅広に巻いたコイルの奥まで浸透するよう低粘度で調合されているため、コイルは非常に薄くコーティングされます。また、ポッティング後にボビン表面の余分なワックスは丁寧に拭き取られるため、ハウリング防止に必要な最低限のワックスでコイルが固定される形となります。適度なフィードバックや音の広がりを得るためには、ベタベタ、あるいはガチガチに固められたコイルよりも、低粘度のワックス少量で固定されたコイルの方が有利で、こういったワックスの調合やポッティングの手順にも繊細なノウハウが詰めこまれています。