ゼネラル6S-28
ゼネラルのウッドキャビネットラジオには私達を魅了する何かがあります。
ラジオの性能を含めた「造りの良さ」は多くの先輩方も語るところですが、その折り目正しく格調高いデザインは
時代を超えて色褪せないばかりか、現代感覚のリノベーションをよく受け入れる素地も備えています。
これまでにゼネラルを題材に、バーチホワイトのワックス仕上げや、南洋ウェンジ材の突板貼りなど、数々のリノベーションラジオを造ってきました。
作業を進めながら元々備わった格調に、気品をたたえた色気が加わったとき、ゼネラルのラジオに向き合えた喜びを感じます。
今回出品の6S-28は、マホガニーとロイヤルブルーのカラーコントラストで特別な一台に仕上げております。
どうぞご検討くださいませ。
ゼネラルの6Sモデルは5球+マジックアイの6球モデルを表し、昭和20年代のST管モデルから続く呼称です。
この6S-28の製作年は不詳ですが、似かよったグリッドスタイルの樹脂フェイシアを有する6S-35, 7S-6が発売された1955~1956年
以前の製品と考えられます。
ブラックのサブパネルに施された、ウッドストリップのインレイ(象嵌)もこの3機種の共通デザインであるとともに、
どこか、欧州ラジオの影響を感じさせるテイストが特徴です。
回路的には出力管にビーム管6AQ5を採用し、6AR5に比べて1.5倍の音声出力を得たハイファイ仕様であること、
NFBによる音質向上を図っていることが特記されます。
機器の概要を以下にまとめます。
標準型5球スーパー+マジックアイ 6BE6, 6BD6, 6AV6, 6AQ5( 日立製ブラックプレート ), 5MK9, 6E5
オーディオアンプ部NFB回路
キャビネット内蔵大型キャパシティアンテナ
トラッキングレス親子バリコン
7インチ パーマネントダイナミックスピーカー
底板回路図貼付
行った処置は以下のとおりです。
不良CR部品交換
出力トランス交換(パイオニア製 P-7同等)
ACコード交換
新品マジックアイ交換(トーヨー製)
外部入力ケーブル製作
美装(マホガニーオイルフィニッシュ、ダイヤル盤バックパネル貼換え)
受信性能はクラス最優秀です。やはりゼネラルと唸らされました。
工房のある兵庫県山間部にて本体キャパシティアンテナのみで、1278kHz RKB(福岡)をクリアに受信しました。
非常にDXが効き、リード線アンテナ付加でさらに感度が向上します。
音色については、低音の出も良く、良いトランスとともにNFBの効果を感じます。
何と言っても、オーディオ管で定評ある6V6-GTに特性が似た、6AQ5の音が聴けるのは貴重です。
さらに外部入力は、ラジオ本体側のボリュームで調節できて快適です。
当方での受信確認を経てはいますが、受信はご住居の地域、環境、構造に大きく左右される部分です。
臨機応変にアンテナを工夫することは大事です。
また、整備品とはいえ本機の構成部品は70年の経年につき、コンディションの変化もあり得ます。
ご理解の上のご入札をお願い申し上げます。