古今和歌秘註《古今栄雅抄》 序一・二 二冊 写本

古今和歌秘註《古今栄雅抄》 序一・二 二冊 写本 收藏

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26.7×18㎝

【題箋】
  『栄雅抄此?壱?序在 古今和歌秘註 序一』
  『栄雅抄序下續    古今和歌秘註 序二』

【内容】『註』は「仮名序」を84に分け、それぞれに解説を加えている。下の 01 28 等は、それぞれに、私に付した番号である。
*****************************************************
序一
 【内題】古今和歌集秘註
 序一
    序1丁
    本文
     01やまとうたはひとの心をたねとして 1丁裏
            ↑
            ↓
     28あるは花をそふとてたよりなき所に 61丁裏~62丁裏
*****************************************************
序二
      29しかあるのみにあらす 2丁表
            ↑
            ↓
      84人丸なくなりにたれと哥の事 57丁表~59丁裏
      
    追加
     01春きぬと人はいへともうくひすのなかぬかきりはあらしとそ思ふ 60丁表
     ↑
           ↓
                                                                                                              16立田川もみち葉なかる  63丁裏
    
【因みに】「追加」「14植しうへは秋なきときや」63裏の歌は
 『伊勢物語 51段』
 『古今和歌集 秋歌下』のもので、原形は
 植ゑし植ゑば秋なき時や咲かざらん花こそ散らめ根さへ枯れめや
          ~「『へ』←→『ゑ』。仮名遣いの指摘?」~
********************************************************************
【参考】『古今和歌集 仮名序』の本文と、「提出本」にでてくる「仮名序」の解説部分(全84項目)を比較しながら、その所在を提出本の丁数で示した。参考にされたい。「仮名序の本文」ネットで借用したものなので、「提出本」の本文とは違うことをご了承ください。
                (若干の間違いはご容赦を!)

古今和歌集仮名序                    
                        ~ 一 ~

01 01裏 やまとうたは、人のこゝろをたねとして、

02 03表 よろづのことのはとぞなれりける。よの中にあるひとことわざしげきものなれば、心におもふ事を、みるものきくものにつけていひいだせるなり。

03 05表 はなになくうぐひす、みづにすむかはづのこゑをきけば、いきとしいけるものいづれかうたをよまざりける。

04 06裏 ちからをもいれずしてあめつちをうごかし、めに見えぬおにかみをもあはれとおもはせ、をとこをむなのなかをもやはらげ、たけきものゝふのこゝろをもなぐさむるはうたなり。

05 08裏 このうた、あめつちのひらけはじまりける(時)よりいできにけり。

06 10裏 しかあれども、よにつたはれることは、ひさかたのあめにしては、したてるひめにはじまり、

07 15裏 あらがねのつちにしては、すさのをのみことよりぞおこりける。

08 16裏 ちはやぶるかみよには、うたのもじもさだまらず、すなほにして、ことのこゝろわきがたかりけらし。

09 22表 人のよとなりて、すさのをのみことよりぞ、みそもじあまりひともじはよみける。

10 33表 かくてぞはなをめで、

11 33表 とりをうらやみ、

12 33表 かすみをあはれび、

13 33裏 つゆをかなしぶ

14 33裏 こゝろことばおほく、さまになりにける。とほきところもいでたつあしもとよりはじまりて年月をわたり、たかき山もふもとのちりひぢよりなりて、あまぐもたなびくまでおひのぼれるごとくに、このうたもかくのごとくなるべし。

15 35裏 なにはづのうたは、みかどのおほむはじめなり。

16 38表 あさかやまのことばゝうねめのたはぶれよりよみて、

17 40表 このふたうたは歌のちゝはゝのやうにてぞ、(て)ならふ人のはじめにもしける。

18 42表 そも歌のさまむつなり。からのうたにもかくぞあるべき。 
19 44表 そのむくさのひとつにはそへ歌。

20 44裏 おほさゝきのみかどをそへたてまつれるうた なにはづにさくやこのはなふゆごもりいまははるべとさくやこのはなといへるなるべし。

21 46表 ふたつにはかぞへうた さくはなに思ひつくみのあぢきなさみにいたづきのいるもしらずてといへるなるべし。

22 47裏 みつにはなずらへうた きみにけさあしたのしものおきていなばこひしきごとにきえやわたらむ+といへるなるべし。

23 50裏 よつにはたとへうた わがこひはよむともつきじありそうみのはまのまさごはよみつくすともといへるなるべし。

24 53裏 いつゝにはたゞことうた いつはりのなきよなりせばいかばかり人のことのはうれしからましといへるなるべし。

25 55裏 むつにはいはひうた このとのはむべもとみけりさきくさのみつばよつばにとのづくりせりといへるなるべし。

26 59裏 いまのよの中、いろにつき人のこゝろはなになりにけるより、あだなるうたはかなきことのみいでくれば、いろごのみのいへにむもれぎの人しれぬことゝなりて、まめなるところにははなすすきほにいだすべき事にもあらずなりにたり。そのはじめをおもへばかゝるべく〔も〕なむあらぬ。

27 61裏 いにしへのよゝのみかど、春のはなのあした、あきの月のよごとにさぶらふ人をめして、ことにつけつゝ歌をたてまつらしめたまふ。

28 61裏 あるははなをそふとてたよりなきところにまどひ、あるは月をおもふとて、しるべなきやみにたどれるこゝろをみたまひて、さかしおろかなりとしろしめしけむ。

*******************************************************************
                        ~ 二 ~

29 02表 しかあるのみにあらず、さゞれいしにたとへ、

30 02裏 つくばやまにかけてきみをねがひ、

31 04表 よろこびみにすぎ、たのしびこゝろにあまり、

32 04表 ふじのけぶりによそへて人をこひ、

33 04表 まつむしのねにともをしのび、

34 04裏 たかさごすみのえのまつもあひおひのやうにおぼえ、

35 06表 をとこやまのむかしをおもひいでゝ、

36 06表 をみなへしのひとゝきをくねるにも歌をいひてぞなぐさめける。

37 08表 又春のあしたにはなのちるをみ、

38 08裏 あきのゆふぐれにこのはのおつるをきゝ、

39 08裏 あるはとしごとに、かゞみのかげにみゆるゆきとなみとをなげき、

40 09表 くさのつゆみづのあわをみて、わがみをおどろき、

41 09表 あるはきのふはさかえおごりて、〔今日は〕ときをうしなひよにわび、

42 09裏 したしかりしもうとくなり、

43 09裏 あるはまつ山のなみをかけ、

44 10裏 野なかの(し)みづをくみ、

45 10裏 あきはぎのしたばをながめ、

46 11表 あか月のしぎのはねがきをかぞへ、

47 11裏 あるはくれたけのうきふしを人にいひ、

48 11裏 よしのがはをひきてよの中をうらみきつるに、

49 12表 いまはふじのやまもけぶりたゝずなり、ながらのはしもつくるなりときく人は、うたにのみぞこゝろをばなぐさめける。

50 16裏 いにしへよりかくつたはれるうちにも、ならのおほむ時よりぞひろまりにける。

51 18表 かのおほむよや、うたのこゝろをしろしめしたりけむ。かの御時に、おほきみ(み)つのくらゐ、かきのもとの人まろなむうたのひじりなりける。

52 20裏 これはきみも人もみをあはせたりといふなるべし。

53 21裏 あきのゆふべたつたがはにながるゝもみぢをば、みかどの御めににしきとみたまひ、春のあしたよしの山のさくらは、人まろが心には雲かとのみなむおぼえける。

54 24表 又山のへのあか人といふ人ありけり〔と〕。うたにあやしうたへなりけり。

55 25表 人まろはあか人がかみにたゝむことかたく、あか人はひとまろがしもにたゝむことかたくなむありける。 

56 30裏 この人々をおきて又すぐれたる人も、くれたけのよにきこえ、かたいとのよりにたえずぞありける。これよりさきの歌をあつめてなむまえふしふとなづけられたりける。

57 32裏 こゝにいにしへのことをも歌のこゝろをもしれる人、わづかにひとりふたりなりき。しかあれどこれかれえたるところえぬところたがひになむある。 

58 32裏 かのおほむときよりこのかた、としはもゝとせあまり、よはとつぎになむなりにける。

59 36表 いにしへの事をもうたをもしれる人よむ人おほからず。

60 36表 いまこのことをいふに、つかさくらゐたかき人をばたやすきやうなればいれず。

61 36裏 そのほかにちかきよにその名きこえたる人は、すなはち、そうじやうへぜうは歌のさまはえたれども、まことすくなし。たとへばゑにかけるをむなを見ていたづらに心をうごかすがごとし。

62 37裏 ありはらのなりひらは、そのこゝろあまりてことばたらず。しぼめるはなのいろなくてにほひのこれるがごとし。

63 38裏 ふんやのやすひではことばゝたくみにてそのさまみにおはず、いはゞあき人のよきゝぬをきたらむがごとし。

64 40表 うぢやまのそうきせんはことばゝかすかにして、はじめをはりたしかならず。いはゞあきの月をみるに、あかつきのくもにあへるがごとし。

65 40表 よめるうた、おほくきこえねば、かれこれをかよはしてよくしらず。

66 41表 をのゝこまちは、いにしへのそとほりひめのりうなり。あはれなるやうにてつよからず。いはゞよきをむなのなやめるところあるにゝたり。つよからぬはをうなのうたなればなるべし。

67 43表 おほとものくろぬしは、そのさまいやし。いはゞたきゞおへるやまびとのはなのかげにやすめるがごとし。

68 45表 このほかの人々、そのなきこゆるのべにおふるかづらのはひゝろごり、はやしにしげきこのはのごとくにおほかれど、うたとのみおもひて、そのさましらぬなるべし。

69 45裏 かゝるにいますべらぎのあめのしたしろしめすことよつのときこゝのかへりになむなりぬる。

70 46裏 あまねき御うつくしみのなみ〔のかげ〕やしまのほかまでながれ、ひろき御めぐみのかげ、つくばやまのふもとよりも

71 47表 しげくおはしまして、よろづのまつりごとをきこしめすいとま、もろのことをすてたまはぬあまりに、いにしへのことをもわすれじ、ふりにしことを(も)おこしたまふとて、いまもみそなはし、のちのよにもつたはれとて、

72 49表 延喜五年四月十八日に、大内記きのとものり、御書所のあづかりきのつらゆき、さきのかひのさう官おふしかうちのみつね、右衞門のふしやうみぶのたゞみねらにおほせられて、萬葉集にいらぬふるきうた、みづからのをも、たてまつらしめたまひてなむ、 

73 52表 それがなかに、むめをかざすよりはじめて、

74 52表 ほとゝぎすをきゝ、

75 52表 もみぢをゝり、

76 52裏 ゆきをみるにいたるまで、

77 52裏 又つるかめにつけてきみをおもひ、人をもいはひ、

78 53表 あきはぎなつくさをみてつまをこひ、

79 53表 あふさか山にいたりてたむけをいのり、

80 54表 あるは春夏あき冬にもいらぬくさの歌をなむ、えらばせたまひける。

81 54表 すべて千うたはたまき、なづけて古今和歌集といふ。

82 55表かくこのたびあつめえらばれて、山したみづのたえず、はまのまさごのかずおほくつもりぬれば、いまはあすかゞはのせになるうらみもきこえず、さゞれいしのいはほとなるよろこびのみぞあるべき。

83 56表 それまくらことば、はるのはなにほひすくなくして、むなしきなのみあきのよのながきをかこてれば、かつは人のみゝにおそり、かつはうたの心にはぢおもへど、たなびくゝものたちゐ、なくしかのおきふしは、つらゆきらが、このよにおなじくむまれて、この事のときにあへるをなむよろこびぬる。

84 57表 人まろなくなりにたれど、うたのことゝどまれるかな。たとひときうつりことさりたのしびかなしびゆきかふとも、このうたのもじあるをや。あをやぎのいとたえず、まつのはのちりうせずして、まさきのかづらながくつたはり、とりのあとひさしくとゞまれらば、うたのさまを(も)しり、ことのこゝろをえたらむ人は、おほぞらの月をみるがごとくに、いにしへをあふぎていまをこひざらめかも。
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追加
01 60表 春きぬと人はいへともうくひすの 
  なかぬかきりはあらしとそ思ふ

02 60表 春日のゝ若なつみにや白妙の
  袖ふりはへて人の行らん

03 60裏 駒なへていさ見にゆかんふるさとは
  雪とのみこそ花はちるらめ

04 61表 わか庵はみやこのたつみしかそすむ
  世をうち山と人はいふ也

05 61裏 おもひつゝぬれはや人の見えつらん
  夢としりせはさめさらましを

06 62表 深山には松の雪たに

07 62表 我衣手に雪はふりつゝ

08 62表 春霞たつを見すてゝ行かりは

09 62.裏 ひくらしの鳴つるなへに

10 62裏 たけがり

11 62裏 すみのえのきしによるなみ

12 63表 袖ひちてむすひし水の

13 63表 春霞たてるやいつこみよし野の

14 63裏 植しうへは秋なきときや

15 63裏 たつた川もみちみたれて

16 63裏 立田川もみち葉なかる   


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【参考】 14「植しうへは秋なきときや」

※『伊勢物語』 五一段(植ゑし植ゑば)

昔、をとこ、人の前栽に菊うゑけるに、
  植ゑし植ゑば秋なき時や咲かざらん
  花こそ散らめ根さへ枯れめや

※『古今和歌集』 巻五 秋歌下 

 人の前裁に菊にむすびつけてうゑけるうた 在原業平  
268  植ゑし植ゑば  秋なき時や  咲かざらむ  
  花こそ散らめ  根さへ枯れめや
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【刊期等】不明
早稲田大学蔵本解説に依れば、この本は『古今栄雅抄 序 巻第1-20 飛鳥井雅俊 [著]』の『序』の部分二冊のようである。両者を比較すると、確かに「序二」は「いにしへのよゝのみかど」で始まっているが、全巻の趣は少し違うようである。

※全体的に、経年によるくすみ、汚れあり。
※経年による紙の劣化、変色、斑点状の染み、多数あり。
※梱包材の再利用に努めています。ご理解下さい。
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