1895-1989 日本芸術院会員で文化功労者の洋画家、洋画界の長老、東京都生まれ、石井柏亭に師事、1926年 二科展樗牛賞、1950年 武蔵野美術大学教授、1953年 多摩美術大学教授、1960年 日本芸術院賞、従来の絵画観にとらわれることなく自由に制作を続け、果物、花、人形などの静物や風景を好んで描いた、線遠近法などを無視して画面の大部分をモチーフで埋め、明澄、豊麗な色彩を特色とした童画風と評される陽気で詩的な作風を示した

画伯は、日本の洋画界を代表する長老的な存在として知られる画家です。彼は石井柏亭に師事し、1926年に二科展で樗牛賞を受賞した後、武蔵野美術大学や多摩美術大学で教授を務めるなど、日本の洋画教育にも大きく貢献しました。

鈴木信太郎「新緑の伊豆山」油彩 12号 大作
本作品は、日本洋画界の巨匠であり文化功労者の鈴木信太郎（1895-1989）によるもので、タイトルが示す通り、静岡県熱海市に位置する伊豆山の風景を描いています。新緑の季節、春から初夏にかけての生命力に満ちた自然が、鮮やかな色彩と独特の画風で表現されています。

丘陵地帯に広がる緑の濃淡、点在する家々、そして遠くに見える青い海ーこれらは伊豆山の風景そのものであり、豊かな自然の息吹を感じさせます。特に「新緑」という言葉から、木々や草花が芽吹き、光に輝く様子が生き生きと描き出されていることがわかります。鈴木信太郎の特徴である、画面の大部分をモチーフで埋め尽くす大胆な構図と、明澄で豊麗な色彩が、この絵にも見事に活かされています。遠近法にとらわれることなく描かれた風景は、童画風とも評される彼の詩的で陽気な作風をよく表しています。

「新緑の伊豆山」は、自然の美しさや季節の移ろいに対する画家の深い愛情が感じられる一枚です。見る者に新緑の爽やかさと、自然と人間が調和する風景の温かさを届けてくれるでしょう。