※昨年(2023)12月13日に、橘左近師が逝去し、この3月
1日に偲ぶ会も終わり、百箇日も迎えた。友人の寄席文字関係者の
アドバイスを受け、手間や経費もかさむので本品の値上げを決意した。
何卒、御容赦して頂きたい!
【額縁の総説明】
橘流寄席文字家元の右近師が、渾身の筆力で表現した『新宿
末廣亭・都家かつ江』の長大額(縦50×横22・5㌢)で、
額中の作品は、縦38×横12・5㌢だが、厳密には縦19×
横12・5を上・下二段につなぎ、その中央にメインの「新宿
末廣亭・都家かつ江/橘右近、左近、右一郎」が上に貼り合わ
せてある。新宿末廣亭と都家かつ江は、縦13・5×横5サイ
ズ千社札となっている。その二つのメインの間に縦13・5×
横1の橘右近、左近、右一郎の名が、ズッシリしたした存在感
をかもし出している。ちなみに、上・下段の橘流寄席文字門下
の達人および御贔屓衆の名前も、橘右近、左近、右一郎と同じ
縦3×横1のサイズに納め、えも言われぬ全体的な凝縮した迫
力を演出してるように、私には見える!
【上段】古太夫、呼出し・賢市、呼出し・太郎、代田・圓乗
院、仲のぶ・小原、浜すじ・克祐、浜すじ・石銀、浜すじ・魚
の正、浜すじ・椙圭、九段・柏屋、志津子、鎌田・章治、荒川・
安田、諸川鯉二郎、向島・とき、浜すじ・ゑん重、浜すじ・渡
辺、浜すじ・いい田、千住・魚大留、千住・水おち、千住・大
畑、子・かじ源、千笑会・岩崎、千笑会・篠塚、千笑会・小野、
ふ谷・乃本
【中段】都家かつ江・新宿末廣亭/橘右近、左近、右一郎。
【下段】右之吉、右橘、右太治、右龍、右樂、右女次、柳亭小
燕枝、つきじ・上田康、岐阜・深尾学、岐阜・梅田真、播磨・
廣瀬輝、浪花・三原貞、尾張・邦太郎、泉州・辻林孝、浪花・
田中靖、与野・川又昌、桃井・式田和、下落合・高田芳、豊島・
高練、西糀谷・赤井弘、青山・大津維、豊島・杉本照、松戸・
青木雄、松戸・上総屋、松戸・三浦桂、日暮里・豊田明、友鶴・
修二郎
※なお、独特の字体なので、判読ミスから、一部、写しまち
がいあるやも知れぬが、何卒、御容赦のほどお願いしたい!
【都家かつ江】(1909~83)
都家かつ江、本名は利根谷タキは、明治42年(1909)に東
京浅草生まれの三味線漫談家である。都々逸や俗曲など十八番
とし〝女三亀松〟と言われた。栴檀は双葉より芳しく、父は演
芸一座の座長で、幼少から、手踊りや子供手踊りを覚えた劇団
育ちと言ってよい。
18才で清川滝三郎と結婚し、夫婦漫才『都家福丸・香津代』
デビュー。昭和22年(1947)に夫と死別。一人娘に二代目福
丸を襲名させ親子漫才に転換した。同25年、玉川一郎の薦め
で、芸名を都家かつ江と改める。三味線を用いた世相漫談や、
都々逸などが評判になり、数多くの舞台・映画・テレビ・ラジ
オ等に出演した。
ラジオ番組『大沢悠里ののんびりワイド』(TBSラジオ)で
は大沢悠里との名コンビで知られ、看板コーナーお色気大賞で
は初代の相方を務めた。同58年(1983)9月29日、脳軟化
症で他界、享年74歳であった。
翌年の 一周忌には「都家かつ江之碑」(海蔵寺)が建立さ
れた。 碑の下にかつ江愛用の三味線撥(ばち)が納められた。
また、碑の左側面に夫・福丸がかつ江に捧げた句があり、さら
に右側面には森繁久彌による献句が刻まれている。碑の隣には、
かつて上野・鈴本演芸場玄関にあった石灯籠が建てられている。
この石灯籠の最初の所有者で、彼女に御縁があったものだ。本
品も、おそらく、一周忌か三回忌、右近師が没する前の作品か
と思われるが、詳細は本品に名を連ねている方々にお聞きしな
いとわからない。
【かつ江の名女優ぶりとテレビ出演が寄席に貢献!】
彼女は、昭和25年以後、女優として活躍した。デビュー作
は『猫と庄造と二人のをんな』で、その後も『月と接吻』『乾
杯 ! 見合結婚』『駅前旅館』『男性飼育法』『珍品堂主人』
『アワモリ君乾杯!』『青べか物語』『喜劇 とんかつ一代』
『台所太平記』『落語野郎 大脱線』『青春太郎』『新・与太
郎戦記』『青い山脈』『陽のあたる坂道』など、20数作の銀
幕を飾った。
映画業界が斜陽化した、昭和40年代からは、評判のテレビ
女優としてお茶の間のブラウン管に登場。『新五捕物帳』のと
よ役は特にハマリ役で、同番組を長寿番組に成長させた。『花
は花よめ』(第1・第2シリーズ)『傷だらけの天使 』『3
年B組金八先生』(第1シリーズ)などドラマでも脚光を浴び
た。
当初は、寄席出身の喜劇女優であったが、その後、数多くの
作品をこなすうちにシリアスな演技をはじめ、あらゆる役をこ
なすようになった。そして、彼女の女優人気により、八代目桂
文楽(1971没)や五代目古今亭志ん生(1973没)後、特に入り
の悪くなった寄席に、再びお客を戻すことに大いに貢献した。
【状態と発送に関して】
この額の中の寄席文字作品は、縦の長さがあるので、前の所
有者の保管が完璧でなかったので、最上部には小さなキズが相
当数見受けられるが、額装したあとは、ほとんど目立たない。
むしろ、この額装は、個人宅もよろしいが皆に見てもらえるお
店に飾ると、ひときわ目立つ気がする。総勢60近い、関係者
や御贔屓の寸志により制作され、限られた方々に配られたもの
かと拝察している。送料に関しては、梱包するとかなり大きくなり
配送地域より料金の格差が生じるので、ゆうパックか宅急便で
落札者負担を予定いたします!