希少図録本 根津美術館所蔵 密教絵画 鑑賞の手引き 写真解説
2013年
根津美術館
77ページ
約26x19x0.7cm
フルカラー
※絶版
根津美術館が所蔵する密教絵画の中から、両界曼荼羅・別尊曼荼羅・独尊両像・白描図像の名品20点の作品を厳選し、
その図像の意味や、描写表現の特色、見どころなどを解説、鑑賞・理解を深めるための図録本。
平安時代、鎌倉時代、南北朝時代の、中世密教修法に使用されてきた密教図像の中でも特に珍しく貴重な作品も掲載されており、コンパクトながら内容としては大変貴重な資料本です。
【序文】より
〈密教絵画〉というと、どのようなイメージをもたれるでしょうか? むずかしい、わかりにくい…
といった声が聞かれます。でも特殊な用語をクリアすることができれば、密教絵画は、いつの世も変わらぬ人間の願望や欲望をかなえる絵画、あるいはまた壮麗な仏教の宇宙観を表した絵画として楽しむことができるのではないでしょうか。そして、描かれた図像(ほとけの姿や表現)の意味や象徴性を読み解くことに関心がめばえるかもしれません。
おごそかな表情の如来や菩薩、それとは対照的に、全身に怒りをみなぎらせた明王、インドの神々を思わせるさまざまな天部、またそうしたほとけたちの相関図である曼荼羅は、〈抽象的な概念を具体的な尊像やシンボルによって表す〉という、独自の思想に基づく一ジャンルをなしています。画面を彩る豊麗な色彩や文様、色とかたちが織りなす神秘的な表現が、密教絵画の魅力といえるでしょう。
本書は、根津美術館が所蔵する密教絵画の中から、両界曼荼羅・別尊曼荼羅・独尊両像・白描図像二十点の作品をセレクトし、その図像の意味や、描写表現の特色を解説するものです。また作品の順番は、必ずしも如来・菩薩・明王・天の順ではなく、解説する内容の便宜を優先しています。
本書が、初心者の方の鑑賞に役立ち、理解を深める一助となれば幸いです。
【目次】
本書のねらい
概説 密教絵画入門 白原由起子
両界曼荼羅 室町時代
名品細見
金剛界八十一尊曼荼羅 鎌倉時代 重要文化財
院政期の美意識
大日如来像 平安時代 重要文化財
儀軌によって異なる図像―ふたつの尊勝曼荼羅
尊勝曼荼羅 鎌倉時代
尊勝曼荼羅 鎌倉時代
鎌倉時代の独尊画像
金剛薩土垂像 鎌倉時代 重要美術品
洗練された尊像表現
聖観音像 鎌倉時代 重要美術品
信仰と造形の展開-宝珠と如意輪観音をめぐる四作品-
如意輪観音・不動明王・愛染明王像 室町時代
大日金輪・如意輪観音像 鎌倉~南北朝時代
阿弥陀如来像 室町時代
七星如意輪観音像 室町時代
伝説からうまれた図像
求聞持虚空蔵菩薩・明星天子像 南北朝時代
愛染明王像の優品
愛染曼荼羅 鎌倉時代 重要文化財
愛染明王像 鎌倉時代 重要文化財
愛染明王像 鎌倉時代 重要文化財
さまざまな忿怒尊
五大尊像 鎌倉時代 重要美術品 軍荼利明王像 大威徳明王像 金剛夜叉明王像 降三世明王像
大威徳明王像 鎌倉時代 重要文化財
不動明王二童子像 南北朝時代
白描図像の鑑賞
大元帥明王・四天王図像 平安時代
毘沙門天図像 平安~鎌倉時代 重要美術品
List of Works