昭和５６年（1981）映画公開の『教育は死なず 巣立
ちのとき』の非売品映画台本で、ちょうど、４０年前
に、夕刊フジ編集局でバイトしてた時に、学芸部の黒
田基男記者から頂戴したものだ。本書は、過去の名作
台本を読むのではなく、令和の現在の教育現場の有り
様を、あらたなシナリオを手がける方には、千軍万馬
の味方となるであろう・・・・。
【映画解説】
かつて、退学者を一人も出さない方針を掲げ、それ
を実証した学校が長野県にあった。
若林繁太の実録『教育は死なず』。サブ・タイトル
は「どこまでも子供を信じて」である。その作品を映
画化したのが本作である。全国の映画館や学校現場、
公共施設等でロングラン上映された。おそらく、宮部
みゆきさんの『ソロモンの偽証』の源は本書この映画
にあったと、私は類推している。ちなみに、私と宮部
さんの年齢は、私と宮部さんは一歳ちがいの同世代で
ある。
話が横道にそれた。ごめんなさい！ メッセージの
質が高く、誰をもの心にズッシリと響くその内容は、
ことのほか高く評価された。文化庁奨励賞（昭和５６
年）、日本カトリック映画賞（ＯＣＩＣジャパン映画
賞）など多くを受賞した。
【 物 語 】
「裏切られても 裏切られても なお子供たちを信じて
一人も退学者を出さない学校がここにある！」
信州の一角に、非行少年のたまり場・私立篠ノ井旭
高校があった。当校の体育教師・大村（江利チエミ）
のクラスに、諏訪の医者の息子・陽二（佐瀬陽一）と
京都の織元の娘・伸子（桐原五月）が転入してきた。
奇しくも、抑うつ状態の陽二による「万引き事件」が
校内を二分する騒動に発展する。『退学者を一人も出
さない』という学校の方針は絶対に守ろう、という校
長（長門裕之）の言葉に、大村は全力で答えようと奮
闘するが・・・・。
舞台となった高校の名物教師を江利チエミ、学校長
を長門裕之がそれぞれ演じた。二人の熱演は、まさに
本映画の肝で、公開当時多くの共感と賞賛を得た。
江利チエミは、自ら役のモデルとなった先生に会い
教えを請うた。その結果「生徒たちを、心底信じられ
る人間の涙こそ子供を変える力になる」と感じた。
だが、残念なことに、本作公開の翌年に４５歳で他
界した。私と同じ中学には、Ｓ・Ｎというイニシャル
の小町的な女のコがいた。高校時代に、子役デビュー
し、江利チエミとＴＢＳのホームドラマで共演してい
た。同窓の彼女を、この映画を見るたびに私はふと思
い出す。
この後、おもな他のキャストを紹介したい。、問題を
抱えた転入生を、佐瀬陽一と桐原五月が演じていた。
脇を固めるベテラン俳優は、南風洋子、鈴木瑞穂、佐
々木すみ江、絵沢萌子らだった。若き日の三上博史が、
高校生役で出演している。
●脚本／監督・板谷紀之
●原作・若林繁太
●企画／製作・山口逸郎、石井修吾
●協力・翼プロダクション
●撮影・杉田安久
●音楽・岡田和夫
【 教育現場も取材経験のある私の雑感 】
今年、愛知県の中学校で、同級生を刺殺した事件は
実にショックだった。11月24日、少年犯人は「すべて
がどうでもよくなった」と動機を語っている。それも
始業前校舎内、凶器はどこの家庭にもある包丁。実に
やりきれない！
少年犯罪では、酒鬼薔薇聖斗による神戸連続児童殺
傷事件や、多数の生徒が殺傷された大阪・池田市の教
育大付属小事件など、この手の事件は、規模の差こそ
あれ枚挙に暇がない！
私は、わずかだが事件記者の経験がある。その中で
小３の先生が先生を刺した事件を取材したことがある。
これらの事件の動機は、「個人的な恨み」や「孤独と
疎外感」「発作的な自暴自棄」の三つに集約されてい
る。「すべてどうでもよい」という開き直りは、人を
貶め、時に人殺し行為を正当化する。
私は宮部みゆきさんの『ソロモンの偽証』を読んだ
時に、彼女も映画『教育は死なず 巣立ちのとき』をき
っと読んだんだなと直感した。
宮部さんも私も、ともに父が職人で、落語や講談好
き。同時期に、『水戸黄門』や『大岡越前』、『銭形
平次』や『必殺仕置人』、『鬼平犯科帳』などのテレ
ビ時代劇を見てたた仲だと思う！？ 私は、彼女にシ
ンパシーを感じていた。おそらく、非行や校内暴力な
どを同じ目線で感じていたはずだ。そして、『ソロモ
ンの偽証』を一読した時に、本書のテーマは「信頼と
裏切り」そして「絶望からの出発」と「真実探究の熱
情」と三つもあると直感した。宮部さんは実に欲張り
な人だが、その徹底した完璧主義が、彼女の素晴らし
い作品群だと思うと納得できる・・・・。
【台本の状態と発送について】
４０年間、大切に保管していたので、台本の状態は
すこぶる良好な「上」で、書き込みナシ！。あまりに
神経質な方は御遠慮して下さい。送料は当方が負担い
たします。
mercari代购
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