【1】概要
・1950年代に製作されたRFTの傑作フルレンジユニット、L2259 PBOを天然木集成材による後面部分開放型エンクロージャーにセットしたシステムのペアです。
・当工房のオリジナル技術でエンクロージャー、ユニットの特性を徹底的にチューニングしたシステムです。
・PHSTによりワイドレンジを実現しています。
https://geo80002002.livedoor.blog/archives/cat_439611.html
・高速で芯のある素晴らしい音がします。・1940-70年代のJAZZ再生では突出した良好な再生が可能と感じます。
・215㎜×156㎜口径で、大型マグネット、超軽量ダブルコーンです。
・1950年代のRFTの大型コンソール、あるいは西ドイツのオーデイオメーカーで広く採用されていた逸品です。
・能率は高いので中小出力の真空管アンプでもガンガン鳴ります。
・マグネットが強力で、超軽量コーンで構成されていますので、反応の速い生き生きした音が得られます。
・例えばピアノの音を聴くとハンマーのたたく音が非常に実在的で、「現代スピーカーの能率が低い一部にみられるふにゃふにゃ音」とは全く異なる世界が広がります。
・音楽ソースはJAZZもクラシックもOKでご機嫌に鳴ります。
【2】システム
・型式:L2259 PBO
・インピーダンス:4Ω(アンプのスピーカー出力は4~16オームで問題ありません)
・定格入力:3W
・口径:215㎜×156㎜
・コーン:超軽量フィクスドエッジ、ダブルコーン
・状態:大きなダメージの無い良好な状態です。
【3】エンクロージャー:
・型式:後面部分開放型
・サイズ:幅200mm、高さ300mm、奥行230mm
・材質:天地側面は15mm厚のアカシア集成材、バッフル、裏板は針葉樹系プライウッドです。
・外装:100、240番のサンドペーパーで研磨し、次にワトコのウォールナットオイルと600番のサンドペーパーで繰り返し研磨仕上げています。
・アカシアの木目がきれいです。
・サランネット:ブラックジャージネットによる頑丈なサランネットが付属します。
・入力端子:2Pのハーモニカ端子でYラグ、またはケーブルむき出しが接続可能です。
・バナナプラグ、極太ケーブルなどほとんどのタイプのスピーカー端子が接続可能な金メッキ金属削りだしアダプターが装備されています。・本エンクロージャーの制作過程は下記にて詳しく解説しています。
・記事ではバスレフですが、外装・材質・組み立ての状況は同じです。
https://geo80002002.livedoor.blog/archives/37355200.html
【4】音質
・以下の感想は主観ですのでご承知おきください。
・最近最も良く聴いている「Benny Goodman Quartet / Together Again!」を再生しました。
・モダンJAZZファンからは「古いね!」などと言われることが多いですが、とんでもない話です。
・これは1960年代の録音でステレオです。
・「JAZZのスィングとはなにか?」を高録音とともに教えてくれる名盤です。
・4人の楽器がクリアに、かつ引き締まった音色で再生され、猛烈にスィングします。
・この種のCD再生ではかなり上位の音かと思います。
・次に1952年モノラル録音の「ナウズザタイム/チャーリーパーカー」を聴きました。
・モダンジャズの創始者の、比較的録音の良い名盤です。
・このスピーカーではアルトサックスが前面に出て来る非常に明瞭な音です。
・天才中の天才の名演を堪能できます。
・同じくアルトサックスの名手、アートペッパーのSACD「ミーツリズムセクション」を聴きました。
・4人の楽器が見事に分離し、またステレオ効果が大変高い再生です。
・アルトサックスの押出しが素晴らしく実在感のある生生しい音です。
・クラシックとして高品質録音のフィリックス・アーヨ+イ・ムジチの「四季」を試聴しました。
・フィリックス・アーヨの「四季」は落ち着いた弦の響きが素晴らしいです。
・バイオリン、チェロなどのの倍音がきれいに再生されます。
・ホールの大きさがうまく再生されていると思います。
・大きさを忘れるスケール感が出ます。
・点音源なので位相の回転がなく楽器数が多くなってもきれいに分離します。
【5】ほか
・スタンドは含みません。
・マンスリーNews
https://geo80002002.livedoor.blog/archives/38691020.html
(2025年 6月 22日 12時 43分 追加)・当工房のチューニング内容についてご質問がございましたので簡単に解説いたします。
・PHSTにより周波数特性を整えワイドレンジを実現しています。
https://geo80002002.livedoor.blog/archives/cat_439611.html
・さらに左右の微妙なレベル差をSBCで補正しています。
https://geo80002002.livedoor.blog/archives/35708409.html
ーー理由ーー
・1940~60年代に製作されたビンテージユニットはそのまま箱に取り付けただけではなかなか思い通りの音にはなりません。
・ユーザの相談で多いのが「高価なビンテージユニットを使用したシステムを購入したが、ほとんど低音が出ません。故障でしょうか?」というものです。
・実際にシステムを拝見すると中域が充実したもので音声などは素晴らしいのですが確かに低音、高音が出ていません。
・それは1950-60年代に製作されたユニットの特性に理由が有ります。
・この時代の高能率フルレンジは中域が盛り上がった「かまぼこ型特性」をしており中域が強調されることが多いからです。
・しかし現代の音楽ソースを聴く場合は問題です。
・中域を抑えてフラットな周波数特性にする必要があります。
・上記の通り当工房ではPHSTベースのスタティックなイコライザでチューニングし強力な低音、高音を出すことに成功しています。
・またビンテージユニットは同じ型番でも少しずつ異なる部分があるのが一般的です。
・その結果、出力レベルに差があることもしばしば起こり得ます。
・その場合は左右レベルを精密にそろえることが出来るSBCの設置が必須です。