19.3×14.91㎝
【題箋】手書き。『俳諧栞』と書いてから、「寂」を書き忘れたのに気づき、「栞」横に「寂」を書き加えた。
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文化九年七月
冨小路従二位刑部卿貞直卿 如泥斎主人 序 3.5丁
文化九年のあき 定雅(?)【書き判】 序 1丁
序 (漢文)詩佛老人1丁
凡例 拙堂老人識 3.5丁
目録
上の巻 全5丁
俳諧之亀鑑 1丁表
姿情の事 5丁表
三の情の事 6丁裏
俗情の事 (7丁表) *8丁表←正しい丁付け
詞情新古の事 9丁表
換骨の事 反転 11丁裏
同巣の事 13丁表
一字の置やうにて句意浅深の事 14丁表
文字あまりの事 15丁表
文字をあまして句の優をつくる事 (18丁表)*16丁表←正しい丁付け
文字をあまして句の意をますます不覚する事 17丁表
一句の栞幸なる事 17丁裏
歌題俳諧題の事 18丁表
俤の事 19丁裏
火をも水にいゝなす事 20丁裏
漢語をつかふ事 21丁表
和歌の言葉をつかふ事 22丁表
古事古語古歌古詩につかはれさる句法 22丁裏
名所をつかふ句法の事 24丁裏
~中略~
神祇 32丁裏
釋教 33丁裏
恋 33丁裏
~中略~
發句 体をわかつ 41丁裏
~中略~
廻文 45丁表
物の名 45丁裏~46丁表
中・下乃巻 省略
【款状】に関する注 46丁裏
款状禁中へ官位をのぞみ或は訴訟を申上る時の状也くはじやうとよむ也くはんとはよまさると也
款状とは、禁中(御所)へ官位を望んだり、訴訟を申し上げる時の書状(嘆願書)である。「かじょう」と読むのである。「かん」とは読まないのだと言うことである。
【参考】デジタル大辞泉「款状」 官位・恩賞などを望み、または訴訟の趣旨を記した嘆願書。かじょう。
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因みに、『俳諧寂栞』の板本は早稲田大学図書館には「文化九年序」とその補刻である「嘉永6」の二種がある。
「出品本」には「朱」で「(○の中に)補」や「」が書き加えられたり、朱線で消されたりした部分が見られるが、「文化九年序」本では、前述のように直されている。
記されている文字の輪郭を見ると、板本の方が滑らかで切れが良く、偶にその線が切断していることもある。対して、「出品本」はそれほどなめらかではない。板木で摺られたものと筆で書かれたものとの違いなのだろうと考えられる。(板木に裏文字で記された文字を鋭い刃物で刻んでいくのだから、輪郭はなめらか。旨く摺れなかったり、文字自体に欠けた部分があれば、線の切断がある)
いずれにせよ、板本の文字と位置が極似しているにもかかわらず、「出品本」には板本に見られる「丁付け」や「版心書名 さひしをり」がなく、四角い枠の中におさまってもいない。どちらがオリジナルに近いと言えば、当然「出品本」と言わざるを得ない。
以上のことから、出品の本は、どうも初版本に関わる写本(板下)に、拙堂の増補分を書き加えたもののようである。
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※全体的に、経年によるくすみ、汚れあり。