以下、ブラクラ妄想ショートショートです(((o(*゜▽゜*)o)))
妖艶な白金の鎖 ~五稜郭の密約~
第一章 凍える五稜郭
時は幕末、戊辰戦争の傷跡が未だ生々しい函館。五稜郭の雪は、深い静寂の中に、時折吹き荒れる北風を孕んで降り積もっていた。凍てつく空気の中、老舗質屋「亀屋」の主、亀吉は、今にも凍りつきそうな指先で帳簿を繰っていた。
その日、亀屋には異様な客が訪れた。男は、深い藍色の羽織を翻し、顔には無表情を湛えていた。男の名は、伊庭孫次郎。かつて新選組に属し、今は浪人として生きているという男だ。孫次郎は、小さな箱を亀吉に差し出した。中には、白金製の、ダイヤモンドが散りばめられた繊細なペンダントが収められていた。
「これを質入れしたい」
孫次郎の言葉は、氷のように冷たかった。亀吉は、そのペンダントに宿る妖艶な輝きに、一瞬言葉を失った。これは、並みの品ではない。明らかに、高価な品物である。だが、孫次郎の眼には、金銭の欲しさよりも、別の何かが宿っているように見えた。
「これは…大変な品物ですね」
亀吉は、震える声で答えた。ペンダントには、Pt900と刻印されている。最高級のプラチナである。ダイヤモンドの輝きは、まるで五稜郭の雪を反射する氷の結晶のようだった。孫次郎は、無言でペンダントの重さを示すように、小箱を差し出した。その重量は、4.05グラム。
「これは、決して盗品ではございません。大切な方からの贈り物です…しかし、今は、それを換金せねばならない事情がございます」
孫次郎の言葉に、亀吉は胸騒ぎを感じた。彼は、長い間、この地に暮らしてきた。函館の闇を知り、人々の心の底に潜むものを察知する鋭い感覚を持っていた。孫次郎の言葉には、嘘はない。しかし、その裏には、何か大きな秘密が隠されていると感じた。
第二章 謎の女と密約
孫次郎の依頼を受けた亀吉は、ペンダントの鑑定を依頼した。鑑定士から返ってきた報告書は、亀吉の予想をはるかに超えるものであった。鑑定書には、ダイヤモンドの質、ペンダントの細工、そしてその希少価値が詳細に記されていた。その価値は、想像を絶するものであった。
その夜、亀吉は夢を見た。五稜郭の雪原を、白い着物を着た美しい女が駆け抜けていく夢を。女は、孫次郎のペンダントとそっくりなペンダントを胸に下げていた。女の顔は、はっきりと見えなかったが、その妖艶な雰囲気は、亀吉の脳裏に深く刻まれた。
数日後、孫次郎は再び亀屋を訪れた。彼は、ペンダントの質入れの代わりに、一枚の古い地図を亀吉に手渡した。その地図には、五稜郭の地下に隠された隠し通路が描かれていた。地図には、暗号のような文字も記されていた。
「この地図に書かれた場所には、幕府の重要な文書が隠されている。それを手に入れたい者がいる…」
孫次郎の言葉は、冷たく、そして重たかった。彼は、その文書を手に入れようとする者たちと、激しい争いに巻き込まれていたのだ。その文書には、戊辰戦争の勝敗を左右するほどの秘密が隠されているというのだ。
第三章 白金の鎖の真実
亀吉は、孫次郎の依頼を受けた。彼は、五稜郭の地下に潜む危険を承知の上で、その文書を手に入れることを決意した。地図を頼りに、亀吉は、五稜郭の地下に潜む隠し通路を探り始めた。その過程で、彼は、謎の女の影を何度も目撃するようになる。
地下通路は、複雑に入り組んでいた。亀吉は、何度か危険な目に遭いながらも、ついに、文書の隠された場所を発見する。そこには、大きな木箱が置かれていた。木箱を開けると、中には、たくさんの文書が収められていた。
その文書には、幕府の陰謀、そして、戊辰戦争の裏側が明かされていた。そして、その文書と、孫次郎が質入れしたペンダントには、不思議な繋がりがあったのだ。ペンダントは、その陰謀に関わったある女性の遺品だった。そして、その女性は、孫次郎の大切な人だったのだ。
孫次郎は、ペンダントを質入れすることで、その女性との思い出を、そして、その陰謀に関わった過去を、すべて清算しようとしていたのだ。
第四章 雪解けの季節
孫次郎は、文書を手に入れ、その秘密を世に公開することを決意した。彼は、函館の民衆に、幕府の腐敗と陰謀を告げ知らせた。そして、彼は、その女性への想いを胸に、静かに函館を去っていった。
五稜郭の雪は解け始め、春の兆しが見えてきた。亀吉は、孫次郎のペンダントを、大切に保管することにした。それは、幕末の函館の、悲劇と希望の物語を語り継ぐ、貴重な証として。
白金の鎖は、その輝きを失うことなく、永遠に、五稜郭の静寂の中で、その時代の記憶を閉じ込めていくのだった。
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