平成17年(2005)に、うなぎ書房から出版
された春風亭柳桜の『不死身の落語家』(第1刷
・定価1890円)である。
帯には「『でも、生きてるもんね』 腹を切ら
れ、交感神経を取られ、膵臓とひ臓も取られ、右
足を切断、左足も切られた。満身創痍の落語家・
春風亭柳桜。『芸人は楽しちゃいけねェ』難病・
ビュルガー病を抱え、今日も出囃子・小鍛冶に送
られ、えーお笑いを一席! 激痛と闘う落語家の
壮絶な人生模様。初めて明かす笑いと闘病の日々」
と、綴られている。
【著者紹介・春風亭柳桜】(1952~2014)
社団法人・落語芸術協会所属の落語家である。
東京都港区生まれ。本名は吉沢正雄。春風亭柳昇
門下、昇太の兄さんで出囃子は「小鍛冶」である。
高卒後に陸上自衛隊に一年半ほど入隊。除隊後
は、電気プラグ製造工場、パチンコ店、喫茶店、
板前などの職を転々。20歳の頃から、原因不明
の難病ビュルガー病を患う。
昭和54年(1979)、春風亭柳昇に入門、柳太
郎で初高座をした。5年後に二つ目となる。平成
4年(1992)右脚を切断。翌年、に真打昇進し柳桜
襲名した。平成6年には左脚を切断。その後は両
脚ともに義足を装着してリハビリに励んだ。わず
か一年でハンディを克服して高座へ復帰した。病
魔容赦なく彼を襲った。膵臓や脾臓の切除手術の
さらなる試練を乗り越えて、晩年には普通に歩い
て高座の座布団に正座できるようになった。人知
れぬ所での努力の賜物である。
柳桜は、古典落語を中心に、ハンデを感じさせ
ない軽快で悠々とした芸を高座を演じた。弟弟子
の昇太は「『本膳』の稽古をつけてもらった」と
語っている。
平成15年3月22日に放映された「団塊スタイ
ル どんな時でも落語が命 春風亭柳桜」(NHK
のEテレ)は、視聴者へ勇気を与えた名番組であ
った。同26年(2014)5月19日、膵性糖尿病に
よる多臓器不全により他界。561歳であった。
【 目 次 】
第一章「おリンゴいかがですか?」
●カミさんとの馴れ初め
●みんながサジを投げた
●真打昇進の知らせ
●最初の異変
●ビュルガー病と診断
●腹部交感神経を除去
第二章「入門決まったからな」
●真砂で板前修業
●私のホームタウン・西荻
●急性膵炎で入院
●噺家になろう
●小柳枝に伝える
●着物の準備
●楽屋入り
●前座修業
第三章 「でも、生きてるもんね」
●新人落語コンクール
●二度の結婚式
●膵臓手術
●行ってらっしゃい
●カミさんがメスを
●カミさんとの離別
●私が切ってあげようか?
●リハビリ病院
●これで右足ともお別れ
●親指の先がかゆい
●リハビリと義足
第四章「不死身の落語家」
●一本立ちの会
●柳桜という名前
●左足切断
●正式に離婚
●新宿のおかみさん
●不精者は病気になってはいけない
●待ってくれる人
●師匠柳昇の死
●私は病人のプロ
・あとがき
【本の状態と発送について】
17年前の出品時に、新本購入し一読後に大切
に保管していた「美本」である。発送はゆうパケ
ットかネコポスでよろしければ当方が負担します。