絶版希少本 密教の象徴世界 三昧耶曼荼羅 三昧耶形の象徴意味図版解説 三摩耶形 真言 梵語祭文 三昧耶マンダラ 密教図像
大悲胎蔵三昧耶曼荼羅 三昧耶形293点 密教法具 真言宗 真言文原文 祭文 如来 菩薩 明王 天部諸尊の三昧耶形 修法行法 三形
八田幸雄 著
平河出版社
1989年初版
287ページ
約22ｘ15.5ｘ2.6cm
ハードカバー
巻頭口絵図版3ページのみカラー、本文モノクロ
※絶版
※帯付き
密教図像の中でも特に重要な意味を持つ、三昧耶形の図像について、整理分類、体系的に詳細解説したもの。
大悲胎蔵三昧耶曼荼羅 三昧耶形293点収録。
密教の歴史は自然の偉大な力に対する信仰から始まった。それは竜蛇・樹木・太陽など絶大な力への畏敬と祈りである。
本書はこれら宇宙の力を塔廟・蓮華・輪宝などの様々な形に昇華させた象徴的三昧耶形マンダラの意味を、
真言文の原文、真言文の意味などもまじえて豊富な図版、図表によって解説。その他密教法具の解説、密教行法もみていく内容。
『理趣経の現代意訳と密教教理』『五部心観の研究』『秘密経典理趣経』『真言事典』『主要密教経軌解説』『秘密マンダラの世界』『現代語訳 真言秘密行法』等の著者、密教研究の大家、八田幸雄。
仏画・仏像の持物にあらわれる象徴物、印相、三昧耶会の鑑賞など、
密教修法、観想の他、密教美術、仏教美術、仏画、仏画家、信仰、仏像鑑賞等愛好家必携の大変貴重な資料本です。
【はじめに】より
密教は大自然と関わり、宇宙と交わり、深い体験のもとに生命あふれる自己を創り出す。そのためには胎蔵、金剛の両曼荼羅の尊像を介して深秘な世界を開いていこうとするのであるが、本書は特に象徴的な器物で示された曼荼羅の諸尊をみていこうとするものである。
特に『大日経』の秘密曼荼羅品、密印品、秘密八印品に説かれた尊像をまとめた『胎蔵三昧耶図』『大悲胎蔵三昧耶曼荼羅』の解明は『大日経』の研究には欠かせない資料を提供するものであり、また右の二種の曼荼羅の象徴世界を明らかにすることは密教曼荼羅の真髄を極めることになる。本書はこの二種の象徴図形の曼荼羅を軸に解明を試みるとともに、金剛界曼荼羅の三昧耶会の象徴図形を示し、広く曼荼羅の世界を明らかにしていこうとするものである。
曼荼羅の世界は宇宙の深い真理に生かされて新生命を得ることにあるが、それはひとり密教の世界に留まるのではなく、広く世界の宗教の根底に生きているものである。それ故本書に示された象徴図像の解明は世界宗教の真理に関わる問題の解明となろう。
論を進めるにあたり、まず宗教の象徴とは何かを問い、次に胎蔵、金剛の曼荼羅の象徴図を解明し、最後にこの深い秘密曼荼羅の世界を体験する実修法の一部を法具、堂内の荘厳、観想法を通してみていこうとするものである。
本書公刊に先だって貴重な資料を公開され写真撮影を許可して下さった石山寺貫主鷺尾隆輝僧正、東寺観智院御尊住の岩橋政寛僧正、大阪青蓮寺の今は亡き玉島宥雅僧正、正祐寺の大野氏御夫妻の御好意に感謝し、また平河出版社はこの困難な書物の刊行を快諾され、しかも本書を読みやすくするために『大悲胎蔵三昧耶曼荼羅』の図版を明確に転写され、編集の任にあたられた高津良子氏、松本隆氏は綿密な校正をしていただき、ともにあつく感謝の意を捧げる次第である。
【凡例】
本書執筆にあたって、密教原典の引用について意訳したところは少なくない。密教の語句は特殊なものが多く。今となっては全く通用しないからである。そのため、引用句の直後に出典箇所を示し、国訳のあるものについてはその巻と頁数も併記した。興味のある方は一々原典にあたって読まれることが望ましい。
（番号略）大正蔵経一八巻六頁下段（大日経）。国訳一切経（密教部）第一巻六八頁（通頁）を示す。
（番号略）大正蔵経三九巻六二二頁下段（大日経疏）。国訳一切経（和漢選述部）一四巻一四七頁を示す。
（番号略）大正蔵経図像部第二巻は通巻の頁数を示す。
（No.46）真言文については拙著真言事典（平河出版社）番号を（）の中に記入した。
(番号略）ナンバーは経典番号を示す。
マンダラの教理の展開については拙著「秘密マンダラの世界」（平河出版社）を参照されたい。マンダラの各尊の性格を知る手がかりは真言文である。拙著「真言事典」（平河出版社）の索引、真言文等を参照されたい。
※サンスクリット原文はアルファベット表記です。
【巻頭カラー口絵写真図版】3ページ より
秘密曼荼羅品図尊分附図 「胎蔵三昧耶図」
大日別壇（一） 大日別壇（二） 大日別壇（三重） 仏部別壇 仏部別壇（三重） 蓮華部別壇 蓮華部別壇（三重） 馬頭別壇（三重） 金剛部別擅 金剛部別壇（三重） 明王別壇 明王別擅（三皿） 仏母別壇 仏母別壇（三重） 諸菩薩別檀 諸菩薩別壇（三重） 釈迦別壇 釈迦別檀（三重）
【目次】
はじめに
第一章 密教と象徴
一 はじめに
二 自然信仰
竜蛇信仰 樹木信仰 太陽信仰 星宿信仰 モンスーンの支配者インドラ信仰 山の信仰
三 象徴を通しての信仰
塔廟信仰 蓮華の信仰 輪宝の信仰
四 仏像を通しての信仰
五 行者自身の本性開示の象徴
第二章 胎蔵マンダラの諸本
一 『胎蔵図像』
二『胎蔵旧図様』
三『現図』
四『胎蔵三昧耶図』
五『三昧耶マンダラ』
第三章 中台八葉部
一 象徴図概説
二『詒蔵三昧耶図』
大日別壇一 大日別壇二 大日別壇三重
三『三昧耶マンダラ』
智火と宝珠 中台の各尊 中台八葉をしめくくる印
四『現図』への展開
第四章 如来の衆徳荘厳印
一 概説
二『三昧耶マンダラ』に出る如来諸印
三 如来諸印の意味するもの
第五章 遍知部
仏部別壇
一 遍知部の象徴
二『胎蔵三昧耶図』
仏部別壇 仏部別壇三重
三『三昧耶マンダラ』
遍知部の展開
一 概説
二『胎蔵三昧耶図』の象徴
仏母別壇 仏母別壇三重 諸菩薩別壇 諸菩薩別壇三重
第六章 持明部
一 持明部の象徴
二『胎蔵三昧耶図』
明王別壇 明王別壇三重
三『三昧耶マンダラ』
四 持明部の展開
第七章 観音部（蓮華部）
一 観音部（蓮華部）の象徴
二『胎蔵三昧耶図』
蓮華部別壇 蓮華部別壇三重 馬頭別壇三重
三『三昧耶マンダラ』
第八章 金剛部
一 金剛部の象徴
二『胎蔵三昧耶図』
金剛部別壇 金剛部別壇三重
三『三昧耶マンダラ』
第九章 行者引入の部
一 概説
二 四大護
三 門と門謨
四 賢劫衆
五 第二門（行者と宝瓶を囲む門）
第十章 文殊部
一 概説
二 文殊部の象徴
三『三昧耶マンダラ』
第十一章 除盖障部
一 除盖障部の象徴
二『三昧耶マンダラ』
第十二章 地蔵部
一 地蔵部の象徴
二『三昧耶マンダラ』
第十三章 虚空蔵部
一 虚空蔵部の象徴
二 虚空蔵部の示す世界
第十四章 釈迦部
一 釈迦部の象徴
二『胎蔵三昧耶図』
釈迦別壇 釈迦別壇三重
三『三昧耶マンダラ』
釈迦とその仏徳を示す印 転輪聖王の特性で示される釈尊、仏頂尊
天上に上昇していく釈尊の教え・浄居天
第十五章 天部諸尊
一 天部諸尊の概説
須弥山説による諸天 八部衆等の尊 ヒンドゥーの三神
八護方神・十二天の神とそのグループ 天地日月星宿の神
二 天部諸尊の解説
地の神水の神 モンスーンの神 ヒンドゥーの三神
護方神と十二天の諸神の眷属 水神と関わる神
第十六章 金剛界マンダラ
一 概説
二 五仏
三 慧門の十六菩薩
四 定門の十六菩薩
概説 四波羅蜜 内の四供養 外の四供養 四摂
五 賢劫の十六尊
六 外金剛部二十天
七 忿怒四明王
第十七章 秘密マンダラの世界の体験法
一 象徴形と法具
二 真言寺院の本堂の荘厳
須弥壇 大壇と法具 天蓋と幢幡
三 密教行法における観想法
むすび
三昧耶マンダラと胎蔵図像、経典対照表
【著者について】
八田幸雄
昭和二年大阪市に生まれる。昭和二十八年関西学院大学文学部哲学科卒業。文学修士。修士論文「シュライエルマッヘルの宗教論」。日本宗教学会。日本印度学仏教学会、日本密教学会。日本仏教学会会員。関西学院大学講師。
朝日カルチャーセンター講師。
著書『理趣経の現代意訳と密教教理』（高野山出版社）、『梵蔵漢対照理趣経索引』（平楽寺書店）、
『五部心観の研究』（法蔵館）、『秘密経典理趣経』『真言事典』『主要密教経軌解説』『秘密マンダラの世界』（平河出版社）『現代語訳 真言秘密行法』（東方出版）等。
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