オークション終了日に発生したヤフオクのシステム障害により、公平なオークションが実施できないと判断しましたので、急遽、取消をさせていただきました。改めて出品いたします。
【基本情報】
判型・形状:大判
絵師:3代歌川豊国、初代歌川国貞
落款印章:香蝶楼豊国画(年玉印)
板行:嘉永2年(1849)
改印等:衣笠、渡辺
版元:久 山本平吉
興行名:詞花紅成盛(ことばのはなもみじのよざかり)二番目大切
演目:余波五色花魁香(おんなごりごしきのはなかご)
所作題・音曲:余波五色花魁香(おんなごりごしきのはなかご)
役名・役者:神功皇后(初代坂東しうか)、軍兵(初代中村福助ヵ)、武内宿祢(4代中村歌右衛門)
【商品説明・サイズ・状態】
歌川国貞作品は、海外落札額=海外市場評価額が近年急激に高騰しています。その中で、本出品作、歌川国貞「皐月、神功皇后、武内宿禰、軍兵」は非常に残存数が少なく、他には東京都立図書館蔵本および早稲田大学演劇博物館蔵本の2点しか確認出来ない大変貴重な作品です。
本出品作以外の2点を所蔵している東京都立図書館および早稲田大学演劇博物館によって、この浮世絵作品は嘉永2年市村座上演の「余波五色花魁香(おんなごりごしきのはなかご)」という歌舞伎演目を国貞が直接取材して成立したことが既に明らかにされています。
但し、国貞が取材した嘉永2年市村座上演の「余波五色花魁香」という歌舞伎演目についての資料はほとんど残っておらず、当該歌舞伎演目の内容、話の筋書きについては不明とされており、本出品作と嘉永2年市村座上演「余波五色花魁香」との具体的な関係性についても従来謎とされていました。
ところが、当方で今回調査したところ、当該の嘉永2年市村座上演の「余波五色花魁香」の辻番付(補足画像に「参考資料」として貼付)と詳細に比較したところ、国貞は当該の辻番付に描かれた絵を参照して本出品作品「皐月、神功皇后、武内宿禰、軍兵」を成立させたことが判明しました(貼付画像補足説明参照)。
そして当該の辻番付を仔細に調査したところ、画面上段、中段、下段にはそれぞれ左右対称のかたちで人物像が同構図、同人数で描かれており、これについて、日本近世美術史の専門家(大学教員)より以下のようなご回答を頂きました。
「変化(へんげ)の表現について」
送付いただきました辻番付拝見いたしました。大変興味深いものだと思います。以下これから分かる基本的な点について記します。
神功皇后と戸隠山の鬼女: この辻番付によれば神功皇后が戸隠山の鬼女に変化するという、従来の浄瑠璃本、常磐津の「余波五色花魁香」のイメージを覆す嘉永2年市村座初演歌舞伎「余波五色花魁香」の独自な筋書きが復元できると思います。ご指摘のとおりこの変化は、辻番付の構図からも明らかであり、演目において重要な要素であったと考えられます。
武内宿禰と戸隠山の鬼切: 武内宿禰が戸隠山の鬼切に変化するという設定も、非常に興味深いものです。武内宿禰は、通常、賢者や長寿の象徴として描かれることが多いですが、ここでは鬼切という、より力強いイメージのキャラクターに変化しています。
その他の登場人物: 中段と下段の登場人物も、それぞれ異なる形で変化していると考えられます。これらの変化は、演目のストーリー展開に大きく影響を与えている可能性があります。
結論
今回の辻番付の分析から、嘉永2年市村座上演の「余波五色花魁香」は、従来の演目のイメージを大きく覆す、非常に革新的な作品であったことが明らかになりました。特に、神功皇后と戸隠山の鬼女、武内宿禰と戸隠山の鬼切の対比は、演目のテーマを象徴する重要な要素であると考えられます。(下略)
上記は当方での調査結果による見解と全く同じです。
さらに付け加えるべきポイントとしては、本出品作、歌川国貞「皐月、神功皇后、武内宿禰、軍兵」が当該の辻番付を国貞が直接に参照した上で成立したものであることが明らかとなったことから(貼付画像補足説明参照)、本出品作上で描かれている神功皇后(仮体)は「戸隠山の鬼女(本体)」が変化(へんげ)したものであり、武内宿禰(仮体)は「戸隠山の鬼切(本体)」が変化したものであることが当然に導き出されるということです(実際の歌舞伎芝居では、坂東しうかが神功皇后から戸隠山の鬼女に、四代目中村歌右衛門が武内宿禰から戸隠山の鬼切に、それぞれ衣裳の「ぶっ返り」という手法による見出し(見顕し)というかたちで正体をあらわす場面が幕の大切(大詰め)として行われたものと思われます)。変化の見出しの際の「ぶっ返り」という手法では仮体の時の衣裳の一部に変化した後の本体の衣裳が垂れている。そこで仮体である神功皇后と武内宿禰の衣裳をよくよく観察してみると、「雲」の意匠が見出せるが、この「雲」の意匠は当該の辻番付の最下段に書かれた文言「黒雲覆群る(こくうんおゝひむらがる)」と重なります。この表現は妖怪や鬼など、この世ならぬものが出現する時の常套句であり他に「一天俄かにかき雲り」などがあります(小松和彦氏『悪霊論』参照)。
また、この文章のすぐ後には「重陽紅葉狩(て(ちょ)うようのもみぢがり)」という一文が最後にある。「重陽」は重陽の節句の意であり、「紅葉狩」とは、まさしく謡曲(能)や歌舞伎の演目名の「紅葉狩」であり、「紅葉狩」とは言うまでもなく戸隠山の鬼女を退治する物語の演目です。
そうして本出品作における赤子の応神天皇を抱く神功皇后の衣裳を見ると「紅葉」の色としての赤あるいは朱色を主色としており、この神功皇后が戸隠山の鬼女の仮体として描かれていることがわかります。
サイズ:各約24センチ×約36.5センチ
状態:当時物ならではの経年劣化多少あり、一部裏打ち紙あり(画像参照してください)
歌川国貞(うたがわ くにさだ、1786-1865)
江戸時代の浮世絵師。のちの三代目歌川豊国。面長猪首型の美人画が特徴。存命中と没後で評価が分かれる。弘化元年(1844年)の一陽斎豊国襲名後は工房を安定させ大量の作品を出版、作品の数は浮世絵師の中で最も多い。その作品数は1万点以上に及ぶと言われる。嘉永6年(1853年)の『江戸寿那古細撰記』には「豊国にかほ(似顔)、国芳むしや(武者)、広重めいしよ(名所)」とある。
英一蝶に私淑しており、文政10年(1827年)ごろより使用した香蝶楼の号は一蝶の「蝶」と一蝶の名の信香の「香」を取ってつけたもの。文政の後期ごろから猫背猪首スタイルの美人画を描いている。歌川広重と合作した「双筆五十三次」においては、三代目豊国が歌舞伎役者などの人物を描き、広重が風景を描いている。天保の改革により、美人画、役者絵にさまざまな制約が加えられたが、改革の抑圧が緩和すると、嘉永ごろにはその反動で彫り摺りの技術は一層高度に極彩、細密なものとなり、目を奪う工芸美といえる浮世絵版画が作られるようになっていった。
(引用:wikipedia)
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●通常のお取引スケジュール例(4月1日落札と仮定した場合)
4月1日落札
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(4月2日朝7時までに入金確認できた場合)4月2日発送・発送連絡
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(翌日配達可能地域の場合)4月3日到着
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4月3日受取連絡
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4月3日取引完了
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