Chris Walker
Sincerely Yours
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輸入盤
1991年のデビューアルバムが小ヒットしたシンガーソングライターChris Walkerの2ndアルバム。
前年にはBrian McKnightという同タイプのシンガーがデビューしたが、演奏する楽器にやや違いがある(Chris Walkerのはギターとベースのプレイヤー)。しかし本作での彼のシンガーソングライターっぷりは徹底されていて、なんと全曲セルフプロデュースを行っている。この時代で全曲セルフプロデュースというのは中々珍しいかもしれない。
収録曲は彼の得意とするスロウが中心で、好き者には堪らない激甘なバラードもある。尚、本作はR&Bチャート最高69位という記録を残している。
さて、収録曲は全10曲で、そのうち8曲がバラードである。前半は弾き語りをベースに構成したような曲が続く。冒頭(1)"I Will Always Love You"から激甘な切ないラブ・バラードで、この曲が気に入ればこのアルバムを問題なく楽しめるはず。
(2)"Your Love Is All I Know"(4)"Everything Will Be Alright"はストリングスとピアノ中心のゆったりとしたバラードで、Chris Walkerは低音から高音まで伸びやかな声を聴かせる。かなり聴き心地の良い声を持つアーティストである。
アップナンバーとなる(5)"Do Me"は一転して今までとは違うノリノリの歌唱。トラック自体はありふれたものだが、独特の歌い回しやテンポの良いフックが耳に残る良曲。尚、この曲と(4)のバックコーラスにはLisa Fischerが参加している。
このアルバムでのベスト曲は恐らくシングルの(7)"Love Tonight"だろう。ここまでの収録曲とは打って変わってマイナー調のバラードで、狂おしく歌い上げるフックの(セルフ)コーラスが素晴らしい。R&Bチャート最高47位。(8)"How Do You Heal A Broken Heart"もシングルとなったバラードで、こちらは(2)(4)(6)と同系統のポップなバラード。恐らくこういった曲調が彼の最も得意なスタイルなのだろう。
Randy Bowlandのアコースティックギターが冴え渡る(9)"If Won't Ever Go Away"ではバックコーラスに彼をフックアップしたRegina Belleが参加。シリアスな展開を見せるラストのアップ(10)"Love A Little Harder"はアルバム中では異色の出来だが、フックの重厚なコーラスなど素晴らしい良曲だろう。
ポップなバラード中心ながらも、所々に毛色の違った曲を挟むことでアルバム全体としてバランスが良く飽きのこない作品になっている。歌い手としても作り手としても素晴らしく、特に日本人受けしそうな作品なので、特に甘々なバラードが好きな人にはかなりオススメの作品。尚、本作で彼は音楽業界から一時離れるが、2005年に3rdアルバムを発表してカムバックしている。