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自宅保管の品です。中身は大変美品ですが古いものですので、表紙など若干の経年変化はございます。ご理解頂ける方にご検討をお願い申し上げます。
関東大震災 文豪たちの証言 石井正己
関東大震災から百年。荷風、志賀、谷崎、芥川、与謝野晶子、野上彌生子……文豪たちは何を見たのか? 彼らが書き残した巨大災害の諸相。文庫オリジナル。
関東大震災から100年。震災直後から、雑誌メディアを中心に、多くの作家が手記、証言を残した。ジャーナリズムの最前線に立った文豪たちの記録は、私たちに何を語りかけるのか。鏡花、荷風、志賀、谷崎、芥川、与謝野晶子、野上弥生子、平塚らいてう、吉野作造ら、作家・文化人・著名人による文章から、関東大震災のさまざまな局面が映し出される。すぐれた筆致と眼差しが描く震災のリアル。
内容説明
関東大震災では、雑誌メディアを中心に、多くの作家が手記・証言を残した。大正ジャーナリズムの最前線にいた文豪たちの記録は、私たちに何を語りかけるのか。残された文章に映し出された巨大災害のさまざまな局面から、今日への教訓を読み解く。
①詩人たちの関東大震災:荷風・朔太郎・実篤②災害を見つめる文豪たち:犀星・鏡花・ポールクローデル・久米正雄・谷崎・志賀直哉③震災を書く女性達:小泉登美・野上彌生子・与謝野晶子・厨川蝶子・原阿佐緒④虐殺を哀しむ文人たち:内田魯庵・らいてう・橘あやめ・中西伊之助・吉野作造⑤悲劇を乗り越える作家たち:芥川・菊池寛・夢二・寺田寅彦・宇野浩二・柳宗悦・夢野久作⑥震災を回想する人々:佐多稲子・福田三郎・犬丸徹三・河野一郎・大川博。③の小泉登美は一般被災当事者④の橘あやめは大杉栄と共に殺された宗一少年の母
◆章立て:詩人たちの関東大震災(荷風、朔太郎、実篤)災害を見つめる文豪たち(犀星、教科、谷崎等)震災を書く女性たち(野上彌生子、与謝野晶子等)虐殺を悲しむ文人たち(内田魯庵、平塚らいてう等)悲劇を乗り越える作家たち(芥川、菊池寛、寺田寅彦等)震災を回想する人々(続
レビューより
三十余名の被災経験の証言集。統計データでは見えてこない、人々の心の記録。 読む前から予想はしていたが、当時の凄惨な状況に、かなりメンタルを削られる。ただそれでも、時々は正面から向き合う必要があるテーマだとも思う。 中でも、生死の境を彷徨い生還した小泉登美「被服廠跡遭難記」が印象的。彼女が置かれた現実と内面の描写が秀逸で、有名どころの文豪の手記よりよっぽど胸に響くものがあった
菊池寛と芥川龍之介が震災後に抱いた芸術への考え方が対照的。朝鮮人虐殺を招いた流言蜚語については多くの作家が言及している。中でも、吉野作造が震災2ヶ月後に「責任ある××が、この流言を伝播し且つ之を信ぜしむるに与って力あったことは疑ないようだ」と官憲の関与を指摘しているのは凄い。
100年の時を経て、今の私たちに届くメッセージ。災害の状況や、その最中で暮らす人々、朝鮮人や大杉栄・伊藤野枝夫妻の虐殺、悲劇を乗り越え、そして回想する人々。東日本大震災を経験した私たちは、このメッセージを真摯に受け止める必要かある。