MILES DAVIS / LIVE "NDUGU" EVIL / CONCERT IN PARIS 1971 FIRST DAY - 2024 UPGRADE VERSION (2CD)
2024 VOODOO DOWN Records 028 (VDD 2024-028)
Supervised by SO WHAT! Label.
Recorded Live at Theatre Nationale Populaire, Paris, France, October 23, 1971
Original Remastered by VDD 2024.
Miles Davis - trumpet
Gary Bartz - soprano saxophone, alto saxophone
Keith Jarrett - electric piano, organ
Michael Henderson - electric bass
Leon "Ndugu" Chancler - drums
Charles Don Alias - conga, percussion
James "Mtume" Forman - conga, percussion
DISC 1
1. DIRECTIONS
2. WHAT I SAY Part I
3. WHAT I SAY Part II
4. SANCTUARY
5. IT'S ABOUT THAT TIME
6. YESTERNOW
DISC 2
1. BITCHES BREW
2. HONKY TONK
3. FUNKY TONK
4. SANCTUARY
これまでにも多くのタイトルを生んできた1971年のツアーよりパリ公演の初日が登場。パリ公演二日目となる10月27日のサウンドボード音源が『A DAY IN THE PARIS 1971』として同レーベルからリリースされていますが、こちらもオーディエンス録音(サウンドボードとの触れ込みもありますが拍手が近い点からオーディエンス録音であると思われます)ながら引けを取らない高音質音源。しかも今回プレスするにあたりリマスタリングで音質面が大幅向上しています。この時期の最大の魅力はキース・ジャレットによるフェンダーのローズ・ピアノとエレクトリック・オルガンの二刀流ですが、もうひとつレオン・チャンクラーのドラムが欠かせません。ライヴ音源とスタジオ音源を混在させた名盤『ライヴ・イヴル』のライヴ・パートに使われた1970年ツアーとほぼ同じセットリストとなっている1971年ツアーですが、ドラマーがジャック・デジョネットからチャンクラーへと変わりました。両者とも手数が多く華やかなドラミングですが、デジョネットの方がややロック寄り、チャンクラーはファンク寄り。後年にはアル・フォスターが鎮座することになるドラマー席ですが、個人的にはマイク・ヘンダーソンのベースといちばんマッチしているのはレオン・チャンクラーではなかったかと思っています。バタバタ暴れ始めて手の付けようがなくなったときのカッコ良さったら!更に1970年と大きく違うのは『WHAT I SAY』の序盤にスロー・パートが設けられた点で、これがなかなか効果的。『DIRECTIONS』のゴタゴタからマイルスが『WHAT I SAY』への移行テーマを吹きますがリズムがじれたまま進んでいき、もう一発移行テーマを吹いてからようやく『“いつもの”WHAT I SAY』のリフが始まる展開。じらされたこっちは「待ってました」とばかりのスタンディング・オベーション。キースのエレピ・ソロから管楽ツートップのテーマを経てゲイリー・バーツのソロへ、リズム・ブレイクして再びキースのエレピ、徐々に絡みつき始めるヘンダーソンのベース。マイルスは見守っているのか、『SANCTUARY』のテーマまで出てきませんが、リズム隊のグルーヴだけでもずっと聴いていたい気持ち良さ。そもそもマイルスの作ったエレクトリック・バンドは、マイルスが統率する強大なリズム・マシーン。『DIRECTIONS』『BITCHES BREW』『SPANISH KEY』といった比較的まだ“曲”ぽい形を呈していた69年頃はデジョネット最高、『WHAT I SAY』『FUNKY TONK』といった徐々にリズム重視になってきてチャンクラー降臨、『TURNAROUNDPHRASE』『PRERUDE』のようにほぼリズムの突進となる73年辺りでアル・フォスターが定着しそのまま75年に超新星爆発へと到達するのです。