29×10.9㎝
折り本 17折り
【題箋】『豫樂院真蹟和歌万代帖』
【内容】
豫樂院書萬代帖[近衛家煕書]
『後撰和歌集 巻第二十 賀歌(附 哀傷)』
冒頭から十八首(01368~01385)の抜き書き
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後撰和歌集
巻第二十 賀歌(附 哀傷)
01-01368
[詞書]女八のみこ元良のみこのために四十賀し侍りけるに、きくの花をかさしにをりて
藤原伊衡朝臣
よろつ世の霜にもかれぬ白菊をうしろやすくもかさしつるかな
02-01369
[詞書]典侍あきらけいこ、ちちの宰相のために賀し侍りけるに、玄朝法師のもからきぬぬひてつかはしたりけれは
典侍あきらけい子
雲わくるあまの羽衣うちきては君かちとせにあはさらめやは
03-01370
[詞書]題しらす
太政大臣
ことしよりわかなにそへておいのよにうれしき事をつまむとそ思ふ
04-01371
[詞書]のりあきらのみこかうふりしける日あそひし侍りけるに、右大臣これかれうたよませ侍りけるに
つらゆき
ことのねも竹もちとせのこゑするは人の思ひにかよふなりけり
05-01372
[詞書]賀のやうなることし侍りける所にて
よみ人しらす
ももとせといはふを我はききなから思ふかためはあかすそ有りける
06-01373
[詞書]左大臣の家のをのここ女こ、かうふりしもき侍りけるに
つらゆき
おほはらやをしほの山のこ松原はやこたかかれちよの影みん
07-01374
[詞書]人のかうふりする所にて、ふちの花をかさして
よみ人しらす
打ちよする浪の花こそさきにけれちよ松風やはるになるらん
08-01375
[詞書]女のもとにつかはしける
よみ人しらす
君かため松のちとせもつきぬへしこれよりまさん神の世もかな
09-01376
[詞書]年星おこなふとて、女檀越のもとよりすすをかりて侍りけれは、くはへてつかはしける
ゆいせい法師
ももとせにやそとせそへていのりくる玉のしるしを君みさらめや
10-01377
[詞書]左大臣の家にけふそく心さしおくるとてくはへける
僧都仁教
けふそくをおさへてまさへよろつよに花のさかりを心しつかに
11-01378
[詞書]今上、帥のみこときこえし時、太政大臣の家にわたりおはしましてかへらせ給ふ御おくりものに、御本たてまつるとて
太政大臣
君かためいはふ心のふかけれはひしりのみよのあとならへとそ
12-01379
[詞書]御返し
今上御製
をしへおくことたかはすはゆくすゑの道とほくともあとはまとはし
13-01380
[詞書]今上むめつほにおはしましし時、たき木こらせてたてまつり給ひける
太政大臣
山人のこれるたききは君かためおほくの年をつまんとそ思ふ
14-01381
[詞書]御返し
御製
年のかすつまんとすなるおもににはいととこつけをこりもそへなん
15-01382
[詞書]東宮の御前にくれ竹うゑさせたまひけるに
きよたた
君かためうつしてううるくれ竹にちよもこもれる心地こそすれ
16-01383
[詞書]院の殿上にて、宮の御方より碁盤いたさせたまひけるこいしけのふたに
命婦いさきよき子
をののえのくちむもしらす君か世のつきんかきりはうちこころみよ
17-01384
[詞書]西四条のみこの家の山にて、女四のみこのもとに
右大臣
なみたてる松の緑の枝わかすをりつつちよを誰とかは見む
18-01385
[詞書]十二月はかりに、かうふりする所にて
つらゆき
いはふこと有りとなるへしけふなれと年のこなたにはるもきにけり
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【刊期等】
明治44年5月17日3刷
發行兼印刷者 七條愷
發行所 書道振興會
發兌元 西東書房
【参考】〈百科事典マイペディア〉に依る。
近衛家煕【このえいえひろ】
江戸中期の公卿、書家。関白、摂政、太政大臣を経て、准三后となり、剃髪。真覚、予楽院と号した。書は初め賀茂流を学び、のち家伝の古名跡に習って和様の書人として一家を成した。
博学で、画、茶、花などにも通じており、そのことは侍医山科道安の記した家煕の言行録《槐記》にうかがえる。
※全体的に、経年によるくすみ、汚れあり。
※折り本の袋の部分的な切れあり。
※経年による紙の劣化、変色、斑点状の染み、多数あり。
※梱包材の再利用に努めています。ご理解下さい。