平成１６年（2004）に、小学館から出版された名城をゆくシ
リーーズ１１号「安土城」（定価・５６０円）である。全ページ・
カラーグラビア仕立てとなっている。城の構造や規模、縄張
り、築城秘話、ゆかりの武将の物語などのさまざまな内容は、
貼付写真を御覧下さい。
【安土城略史】
近世城郭の天守は、今や幻の城となった光秀の近江坂本
城の方が安土城よりも古い。スケールの大きさやその高度な
五重天主（天守）の建築技術から、この安土城こそが本格的
な近世城郭の最初である！ 多年の歳月を費やした安土城は、
本能寺の変後に焼き尽くされたが、天守台をはじめ、各所に
残る穴太積みの見事な石垣、石段や石畳などは、今も壮大
な城郭だったことを漂わせている。また、かつての徳川邸に
は総見寺が建てられ、二の丸には信長廟があり、城跡全体
が特別史跡に指定されている。
安土城は、現・滋賀県近江八幡市（旧・蒲生郡）安土町下
豊浦に築かれた平山城である。信長は、比叡山を焼討し、
足利義昭（将軍）を京から追放。さらに、浅井長政と朝倉義
景を滅ばし三好義継を攻め封じた。そして、天正３年には、
武田信玄死後、無傷の天下無双の武田騎馬隊を長篠の
戦いで壊滅させた。
畿内で残る脅威は、毛利の助勢を得ている石山本願寺
である。越後の上杉謙信や加賀の一向一揆らが、石山本
願寺と結託して北近江から攻めてきた時の備えとして、こ
の安土城を築いたとも言われている。しかも安土は、岐阜
より遥かにはるに京に近く、琵琶湖の北側は光秀の坂本
城、東側には秀吉の長浜城があり、安土城とその二つの
城は水運によって近江全体を掌握できる利点があった。
普請奉行は丹羽長秀で、天正４年に着工し同７年にほ
ぼ完成した。信長は、着工まもなく、城の一部が完成する
とすぐ稲葉山城から居を移している。安土城は、六角氏の
居城・観音寺城の山の地形を活かした縄張りと、新たに
総石垣を駆使して完成を見た。城の回りは、現在は田畑
の平地だが、当時は琵琶湖に突き出た形で、湖水が天然
の水堀と化していた。麓から山頂まで約１００メートルほど
の安土山に曲輪が配置され、本丸、二の丸を中心として、
家臣の屋敷がそれぞれ一つの曲輪の形となっていた。ま
た、城下には安土セミナリオ（神学校）も建てられた。
天正７年（1579）には、五層七重（地上６階地下１階）の天
主が完成した。その壮麗さと城内の佇まいは、宣教師のル
イス・フロイスの著書『日本史』や『信長公記』の「安土山御
天主之次第」などに記載されている。その一部を披露する
と、城内の柱には金箔がはられ、外部は各層が違った色で
塗装され、広間をはじめ、客間や書院、納戸、台所などが
備わり、座敷は畳敷きで、障壁には狩野永徳の絵が描かれ
ていた。
天正１０年、本能寺の変が発生した。その際、安土城の
留守居役は蒲生賢秀であった。信長の横死の急報により、
賢秀は嫡男の氏郷とともに、信長の妻子を安土城から退
去させて本拠の日野城に匿った。間もなく、明智秀満の軍
が安土城を占拠した。山崎の戦いに敗れ、明智軍は城を
退去した。
その際、城は天守・本丸など主要な建物に火をかけられ
焼失した。が、その後も二の丸を中心に織田氏の居城とし
て使われ、信長の嫡孫・秀信が在城した。天正１３年、秀吉
の養子・秀次による八幡山城の築城にともない廃城となる。
安土城下の町は、秀次の築いた八幡山城の城下に移され
た。城跡には、天守台、曲輪、石垣、堀の遺構が残っている。
【本書のおもな登場人物】
●織田信長 ●織田信忠 ●織田信雄 ●織田秀信
●丹羽長秀 ●羽柴秀吉 ●明智光秀 ●柴田勝家
●足利義昭 ●森 蘭丸 ●織田信孝 ●織田勝長
●織田信澄 ●織田信包 ●浅井長政 ●朝倉義景
●蒲生氏郷 ●細川藤孝 ●ヴァリヤーノ ●ルイス
・フロイス ●狩野永徳 ●徳姫
【城と城下町・周辺城砦紹介】
●観音寺城 ●箕作城 ●滝川城 ●大津城 ●朽木城
●長光寺城 ●岡山城 ●青地城 ●坂本城 ●長浜城
●浅小井城 ●日野城 ●瀬田城 ●大溝城 ●水口城
●八幡山城 ●膳所城
【事件・史跡・その他】
●本能寺の変●安土日記 ●セミナリヨ跡
●摠見寺 ●比叡山 ●安土城・貞享古図
●金箔瓦 ●浄厳院 ●沙沙貴社
●蛇 石 ●桃山絵画 ●金箔瓦
【本の状態と発送について】
本の状態は、かつて新品購入した個人所蔵の「美本」ですが、
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