日本の焼き物の頂点とも言える「薩摩焼」は、鹿児島県を主要製造地域とする陶磁器。国の伝統的工芸品に指定されている。2007年(平成19年)1月には鹿児島県薩摩焼協同組合により「薩摩焼」が地域団体商標となった。
江戸時代には薩摩藩の御用品として生産者と技術者が制限されており、その後、明治政府は陶磁器を貿易の重要産物と位置づけたものの需要を捌ききれず、日本全国の陶産地が参入して「SATSUMA」として輸出するようになった。そのため産地別に京薩摩、大阪薩摩、神戸薩摩、東京薩摩、横浜薩摩などを生じ、これに対して鹿児島で作られたものは本薩摩と呼ばれるようになった。
幕末に日本が開国すると、日本の陶磁器のうち美術的に優れたものは欧米へ輸出されるようになった。薩摩藩は1867年にフランスの首都パリで開かれた万博に薩摩焼を出展し、現地で好評を得た。しかし、先述のように鹿児島では薩摩焼は御用品として生産者と技術者が制限されていた歴史があり需要を捌ききれる状況ではなかった。こうした背景から幕末から明治初期に掛けての京都で、欧米への輸出用に、より伝統的な日本のデザインを意識し、絵付けされた「京薩摩」が作られた。横浜や東京で絵付けされ、横浜港から輸出されたものは「横浜薩摩」と呼ばれた。
薩摩焼は欧米で「SATSUMA」(サツマ=薩摩)と呼ばれた。フランスではジャポニズムの流れの中で、日本画のようなデザインで鳥や植物を描くなど、薩摩焼の影響を受けた陶器が製作された。
この出品は、とても高い技術と経験により、細工で作られた蓋物です。壺に扇形の「窓」に三匹の猿が桃木に登って楽しく遊んでる様子と、湖に芦雁がのんびり泳ぐ図をうまく描いております。そのほか吉祥を象徴する「鳳凰」が回って飛んでる姿を描き、とても珍しい逸品であります。
サイズ:19.2・18・13.3cm
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