絶版希少本 茶道 夜咄 茶と美写真シリーズ2 表千家 教本 連続写真解説186枚
千宗左監修 生形貴道 著
126ページ
茶と美舎 発行
平成3年重版 (昭和56年初版)
18.2 x 16.4 x 1.8 cm
カバー付き ハードカバー
※絶版
日本の茶道を代表する三千家の一角、表千家家元の千宗左が監修、
大阪の表千家を代表する茶家「生形朝宗庵」生形貴道が、186枚もの連続写真とともに、
朝茶茶道具を用いた「朝茶」の手順すべてを惜しみなく解説。
亭主の点前はもちろん、朝茶の茶会に招かれた客作法にも言及しており、
正客次客末客の朝茶におけるお作法の細かい定めの動きもわかりやすく写真で示したもの。
モノクロながらほとんどが写真で構成された、茶道具愛好家にも必携の貴重な資料本、数少ない表千家の教本です。
【目次】
原色版頁
グラビア頁
客人来(寄付 待合)
腰掛
迎付
席入り
炭点前
料理 菓子
中立
後入
濃茶 続き薄
暇乞 退出 見送
本文
朝茶の大意
手順
まき灰の所作
土風炉の胴拭き
鳴物
朝茶の料理
会記
あとがき
【朝茶の大意】より
朝茶とは盛夏の頃、早朝に清爽の気を味わう茶事のことをいう。
風炉の茶事には。催す時季により初夏の頃に催す初風炉の茶事、盛夏の朝茶、晩秋は名残等の名で呼ばれる。又時刻によって正午。前茶、朝茶、飯後等の区別があり、手順に多少の違いがある。昔の古い会記を見ると炉、風炉の季節、時刻なども今のように、はっきりした区別はなかったと思われる。
如心斎口授、川上不自問書、稲垣休叟傍註・「茶道笙蹄」の聞書集、乙巻、九十に、「朝の茶湯水次よし風炉の時も膳より前に炭直し水を次ぎ少し遅き客ならば時亘によるべし夜込は見合せ」とあり、稲垣休叟の註に、「朝六ツ半時に客来らば風炉にても初め火を直し水を加ふべし五ツ時にもならば水加ふるに及ばず風炉ならば飯後常例の通り火を直すべし夜込は前より掛し釜なれば必水を改むべし」とある。
朝六ツ半時は現在の午前七時で、炭点前をして釜に水を張り、五ツ時とは八時で、その時間であれば水を張る必要はないという意味である。
現在、正午。前茶等の茶事は四季を通じて催され、朝茶のみが極暑の七、八月頃の茶事で、炎暑をさける為め時刻も午前六時-七時頃迄に始め、初座は炭、懐石、中立、後座は濃茶、続き薄にして、日の高くならぬうちに、さらりと終るのがよいとされている。早朝の涼しさの一会はまた格別で、朝茶ならでは味わえぬ趣きがある。ちょうど冬至前後の夜長に催される夜咄とは対照的な茶事である。
利休居士も「夏は涼しげに」と云われている様に、亭主としては客に盛夏のひとときを如何にすがすがしく、楽しく客をもてなすか心配りをしなければならない。
準備としては何分暑中で早朝の会である事を念頭に置き諸事進める事が肝要である。諸道具の取合せは勿論、料理の献立はあっさりしたものがよく、一汁ニ菜が通例である。
露地まわりの掃除手入、打水は前夜にたっぶり撒き、当日迎付前にも同様樹木の梢より雫のしたたるように、下草、石磴籠、垣等などにも打水をし、露のふくんだ清涼感を出す。
【会記】
寄付 掛物 利休形扇面、吸江斎筆、詩句、
炎威不到軒窓外
涼気常存抗箪中
本席 掛物 明恵上人 夢の記
花入 せみ籠 宗全作 了々斎箱書付
花 秋海棠、さぎ草
香合 唐木彫 江岑判 覚々斎箱書付
水指 空中作
茶入 備前排襷
袋 安楽庵
茶碗 伊羅保 卒啄斎 銘月影
茶杓 卒啄斎作 筒共 銘涼風 同箱書付
薄茶器 惺斎好 白竹張 雪吹 同箱書付
薄茶々碗 了入作 赤平
建水 木地曲
蓋置 竹 吸江斎判